現役金融マンMです
書籍4冊目は「ETFはこの7本を買いなさい」です。
2017年6月に発刊された本で、著者は1966年生まれ、モーニングスター社の社長の朝倉智也さんです。
全体の構成は7章です。
はじめに
第一章 世界で存在感を高めるインデックスファンド
第2章 インデックス投資の最強ツール「海外ETF」に注目
第3章 今、ETFへの注目度が急上昇しているのはなぜか
第4章 ETFを買う前にここだけはチェック!資産運用の最新常識
第5章 ETFはこの7本を買いなさい
第6章 もっとこだわりたい人へ1歩進んだETFの活用法
第7章 ETFはどこで、どう買ったらいいのか?
おわりに
です。
現在の米国におけるETFの残高の伸びはすさまじく、2016年ではアクティブファンドが40兆円の資金流出に対してインデックスファンドは60兆円の資金流入。2024年に残高が逆転するといわれています
大きな理由は
①保有コスト=信託報酬が安いから-一般的なアクティブファンドは1.57%に対して0.56%
②アクティブファンドは日本の国内株ファンドで見ても過去10年間でインデックスファンドに成績で勝てたのは20%程度、米国籍の米国大型株式ファンドでも30%程度しかない
インデックス投資のメリットは
①市場全体に投資が簡単にできること
②コストを抑えた運用ができること
③選ぶ手間や時間がかからない
そのなかでも更にETFはコストが低い(0.1-0.2%程度のものも多い)
種類も豊富にあり、売買も自由なので組み合わせが簡単にできる
ETFの残高をけん引するのは米国では投資アドバイザー(IFA)が55%、プライベートバンクが24%、残高に応じて手数料を一定率受け取る収益体制なので顧客の残高増加は担当者の営業成績につながるので積極的にコストが低い商品を販売する。
ETFの大手は3社
ブラックロック社(iシェアーズ)39%、402本、バンガード社24%、70本、ステートストリート社(スパイダー)20%、173本組成
残高は米国は2016年に281兆円、日本は20兆円、しかし、主な買い手は日銀
ファンドラップは年率3.5%程度の管理コストがかかり、長期運用には適さない
自動的に指図してくれるロボアドバイザーは管理コストは1%、伸びるのはこちら
分散投資をお勧めするメリットは「相場見通しは外れるもの、読めないもの、それならば幅広くすべての投資対象を購入して世界の成長にかける方がリスクが少ない」ため
◎運用の手順
①いつまでに、どれくらいの資金を準備すべきかを見積もる
②これから運用に回していける資金を集める
③年に何%の運用利回りであれば目標を達成できるかを計算する
④その利回りを達成できる可能性のあるポートフォリオを組む
ただ、リスクが高すぎる場合は再度調整を行う
(モーニングスター社の金融電卓機能を活用する)
◎運用の期間は長期であればあるほど良い
積極的に運用する組み合わせ(株100%)でも、スタンダード(株60%債券40%)で運用する組み合わせでも1年よりも5年、10年と期間を延ばせばマイナスになる確率は格段に下がる。
◎ETFを選ぶポイント
①コスト(信託報酬)②純資産残高③出来高④かい離率⑤ポートフォリオの中身
をチェックする
純資産残高があまりに少ないものは運用をやめてしまうこともある
出来高が少ないと売買しにくい
原資産とのかい離が大きいものは運用がうまくいってない
同じような名前の商品でも実際の運用の中身は違うこともある
(モーニングスター社で検索できる)
選ばれたETFは7本+13本の20本(7本のみ掲載)
①バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VTグローバル株)
②iシェアーズ・コアS&P小型株ETF(IJR先進国小型株)
③MAXISトピックス上場投信(1348日本株)
④バンガード・FTSE・エマージングマーケッツETF(VWO新興国株)
⑤iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG米国債券)
⑥バンガード・トータル・インターナショナル債券ETF米ドルヘッジあり(BNDX先進国債券、除く米国)
⑦バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF(VWOB新興国債券)
あとはこれらを組み合わせをするポートフォリオ例が続く
共通しているのは保有コスト=信託報酬が少ないこと
◎ETFを購入するのは手数料の安いネット証券に限る
楽天証券やSBI証券がいい、貸し株サービスを行って貸借料も得られるSBIは特にいい
◎購入後は定期的なリバランスを行い、比率が偏りすぎないように調整を行う
感想
全体としてインデックス投資、ETF投資の教科書みたいな感じでとても参考になりました。
ETFを通じた分散投資は一気に大きく儲かることがない代わりに、資産をじっくりと膨らませる運用にはとても良いと思います。預かり残高に応じて顧問料を受け取る手数料体系の米国では運用成績が手数料収入に直結するので、米国のIFAやプライベートバンカーが積極的に活用するのもうなづけます。
日本も金融機関の手数料体系が変われば営業職員の動きも変わるかもしれません、今のままではコンサルタントという名前の販売員なので続かないと思います。
また、日本のIFAもまだ、ミニ証券会社みたいな感じが多いのでここも変わっていってほしいと感じます。
ここでは長くなりすぎて書いてませんが、本の中には20本のETFが紹介されていて、クウェートやアルゼンチン、ケニアとかとても大手の証券会社が投資信託にして運用商品を作るには厳しそうな新興国に投資できるETFなども書かれてて、特色ある投資も可能にしてくれるのがETFなんだと非常に興味がわきました。
金融機関に勤める人も自社商品だけではなく、ETFの研究をしっかりしないとアドバイザーとして生き残れないなと強く感じさせてくれる本でした。