著者紹介
本書の紹介によるとMBA保持者、投資コンサルタント、作家、フィンテックトレード研究会理事。2003年から株式投資を開始した個人投資家、その後資産運用会社、プライベートバンク、ヘッジファンドで運用経験を積む。2008年の外国為替取引のコンテストでは500万円を15億円まで増やして表彰される。「堀北式デトックス理論」を教えている。
目次
- はじめに
- 証券会社の営業マン・アナリストの話は信じるな
- 新聞や雑誌で推奨されている株は買うな
- 友人・知人から入ってきた情報はガセネタだと思え
- テクニカル分析・財務分析を過信するな
- 株主優待目的で株を買うな
- 仕手株情報に飛びつくと大やけどをする
- ネット掲示板やSNSの情報に騙されるな
- 好きだけでその株を買うな
- 最後に
特徴的な所と感想
1.では、証券会社の営業マンは販売のプロであって運用のプロではないから付き合う必要はない。
例として2014年7月の金融庁の「金融モニタリングレポートの概要」に出てた、その時々に最も人気のあった投資信託に乗り換える売買を行った場合の収益状況の試算結果が掲載されており、年平均マイナス0.3%、10年ではマイナス2.8%という結果。
2003年から取っている期間なので日経平均は2003年が7972円、2013年は12397円で上昇率は55%なので大幅に負けている。
また、アナリストレポートも必要ないとしています。
理由は①そもそも、アナリストレポートはファンドマネージャーが投資家に対してなぜこの株を推奨したのかというアリバイのために欠かれているから。
②証券会社にとって上場会社もお客さまなのでその相手を貶めるようなレポートはもともと書けない。よって買い推奨ばかりになってしまう。
からと書かれています。
確かに最近だとマレーシアのことについて懐疑的なレポートを書いた野村證券がマレーシアのサムライ債の幹事から外されたり、野村不動産の売却に絡んで条件が折り合わなかったため破談になって、結果日本郵政やかんぽ生命の売り出しに野村證券が外れたりとアナリストレポートは結局お客様をヨイショする役割を果たしているのが万国共通かもしれません。
また、耳が痛い話ですが、金融機関の営業は販売のプロであって運用のプロでないことは事実だと思います。投資哲学を持ってお客様の資産運用に特化しようとするとぶち当たるのが手数料収入目標の壁です。不要ではないかと思われる売買を行うこともありますし、リスクを取らせすぎな場合もあります。
貯蓄から投資へと流れが向かわない原因の一つに金融機関の姿勢がとても大きいように感じますが、変わってしまうと殆どの金融機関が経営危機になるのも事実だと思われます。
2.では、新聞の推奨株などは既に賞味期限切れの情報であり、新聞で知ったときには同時に何百万人も知った後なので遅いから意味がない
3.友人や知人はおせっかいや自慢したいだけの人、あなたをハメようとしている人などさまざまで余り有益な情報をもたらすことはない
4.テクニカル分析は未来の予測は不可能、そもそも情報が前提つきの標本空間でのみ成り立つのがテクニカル分析で、前提が変わってしまうことは良くあるので意味がない。
例としてノーベル経済学賞受賞者を集めて運用させたアメリカのヘッジファンドLTCMが、起こる確率が数百年に一度のアジア通貨危機とロシア財政危機が立て続けに起こったため破綻したことをあげてます。テクニカルで予想は不可能な代表例です。
また、PERの指標についても低PERの場合成長性がなくなっている可能性がある。
低PBRのときは業績面などで悪材料が後で出る可能性もあるので鵜呑みにしないことと書いてます。
5.株主優待目的で購入すると優待に目が言って損切りができない
6.仕手株情報は情報発信の前に発信者が仕込んでいることがありうるのでカモになる。仕手株情報系投資顧問は金融庁からの認可を受けていない場合も多くすべて詐欺だと思ったほうが良い。
7.ネット掲示板やSNSもでたらめが多く信用できない
8.好きだけで株を購入すると
A冷静な判断ができない
B投資範囲が狭くなる
C投資判断にバイアスがかかる などして売却しなければならないときに売却できなくなるリスクが高くなるとしています。
感想
この本は電子書籍で購入したため、出版元が書いてなかったです。
なので個人で出されているのかもしれません。
上記の個人投資家向け注意点は割と私もそうだなぁと思うところが多かったです。
アナリストが売り推奨をしにくい現実は間違いなく存在すると思います。
いい会社を素直にいいと書くことはできますが、売り推奨は余程のことをしでかさない限り言いにくいでしょう。
また、LTCMの破綻に触れていますが、テクニカルで全てを予想することは不可能だと思います。目安程度です。盲信しないことです。
LTCMはノーベル経済学賞をとった学者のドリームチームといわれた人々が運用していましたが、彼らも分析力を過信してリスクの高い取引を行ったために破綻したのです。
相場への謙虚さが足りなかったからだと思います。
この本を通して思うところは、金融機関や各種指標の欠点を突いているところは私も納得できるのですが、一方で解決策を示してません。
最後に堀北さんが主催する会員に会費を払えば教えてもらえるそうですが、私は予算不足もあって登録しませんでした。
登録なさるかどうかはご自身で判断ください。