(START up X) 産直テック、おいしい連携 減農薬・規格外をネットで少量販売:2019年7月19日日経産業新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47308130S9A710C1X11000/
- 小規模農家支援や規格外商品を支援しようとした産直テックが勃興している
- 全国140万件の農家の売上は1000万円以上は1割しかなく、5割が50ー1000万円、4割が50万円以下、経済的に立ち行かず廃業も多い
- ukka(ウッカ、東京・千代田)が提供する農産物の販売サイト「OWNERS(オーナーズ)」は農家は野菜や果物の生育状況を写真付きで紹介し、気に入った消費者が「一口オーナー」として登録し、最適なタイミングで出荷してくれる。ウッカは地域ブランディングなどに携わっていた谷川佳氏と、オンラインゲーム開発のAimingでCTO(最高技術責任者)を務めていた小林俊仁氏が2017年に創業。こだわりを持って少量生産した野菜や果物など年間100種類以上を提供
- ポケットマルシェ(ポケマル、岩手県花巻市)の高橋博之社長は東日本大震災後の地域支援目的で農家や漁師など生産者の情報と食べ物をセットで全国に届ける月刊情報誌「東北食べる通信」を13年に創刊。原価600円の食材を2580円で販売するというモデルで継続購入者が多い。その後16年にスマホで情報を確認し、注文まで完結できるポケマルを起業。規格外でスーパーでは扱わない食材をダイレクトに消費者に届ける。
- ビビッドガーデン(東京・渋谷)を起業した秋元里奈社長は実家も農家だが両親から儲かる仕事では無いから継がないでと言われた経験から農家支援サイトを立ち上げる。各農家が値段を決められ、自家のこだわりを「食べチョク」サイトで紹介する。
感想
農家支援でインターネットは今まで農協が支配してきた農業のマイナス面を埋める可能性があると思います。農協は確かに流通の面で大きな役割を果たしており、私の知り合いの農家も農協が買い取ってくれるから安心して農業に専念できると話しています。
一方で基準や規格が大変厳しく、新聞に出てきた小規模農家には対応しづらい面も多くあり、その点では生産者と消費者を直接繋ぐのにインターネットを活用する取り組みは素晴らしいと思います。また、昔に比べて流通が発達しているので出荷に最適なタイミングで消費者に商品を届けられるようになった面も大きいと思います。
今後の課題として見えるのが、事業としては株式市場に向きにくいかなと感じるところと、生産者をチェックし続けないといけないところだと思われます。
株式市場に個人的には馴染むかどうかは判断が迷うところです。株式市場は短気で、売上成長性が見込めないと判断すると容赦なく売込みます。そうなると企業が売上至上主義に走ると当初の理念が崩れるような気がします。将来上場を目指しているなら注意して欲しいです。
ただ、農業系で上場している会社もあります。
3541の農業総合研究所です。全国の生産者から集荷してスーパーなどの小売店で直販しています。売上は伸びており、上場年の2016年に12億円が四季報予想では今年32億円予想です。株価は180円程度だったのが今は755円です。ネットで産直とはやや違いますがこれも今までなかった農業支援企業だと思います。当社もIT投資は活発です。
私も母親が福島県出身で、東日本大地震の時は東北の実家で夏休みに虫取りをしたり、農産物の収穫をして楽しかった思い出があります。震災後に除染で何もなくなった姿を見て悲しい思いをした記憶があります。
農業というとダサいとかシンドイとか儲からないというイメージがあり、事実そうなのですが、そうさせている業界や規制もあると思います。ネットで生産者の努力を知り、消費者が多少高くても顔が見える人から直接購入する安心感を届けられる、生産者に働く喜びを届ける試みは素晴らしく、生産者が利益を安定的に得られるようになれば地方活性化にも繋がると思います。
ぜひ頑張って欲しいものです。