損失限定型投資信託について

直近5年の大型新規設定(投信ランキング)2019年6月13日日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45893160Q9A610C1000000/

少し前の記事ですが、売れ筋の投資信託ランキングが出てました。相変わらず上位はテーマ型ファンドですが、一部で損失限定型投信が出ていたので取り上げてみました。

損失限定型投信とは文字通り元本の目減りを緩和する目的の様々な仕組みを取り入れている投資信託で運用内容は様々です。営業現場目線で考えると顧客に訴えやすいので販売額は伸びそうです。

しかし、それぞれの仕組みを理解してからで無いとただ損するだけで終わる可能性もあるので注意が必要です。

販売額の9位に入っているSMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンドは以下の説明となっています。

運用方針

世界の株式、債券および短期金融資産などへ投資する。基準価額がプロテクトライン(設定時9,000円。基準価額が10,600円に到達した日から10,000円、11,111円に到達した日から基準価額の最高値の90%。プロテクトラインは下がらず)を上回るよう運用。下落した場合、保証契約により、基準価額はプロテクトラインを下回ることなく繰上償還する。機動的に為替ヘッジする

で、運用対象は現在以下の通りです。

  • ■ 短期金融資産38.0%
  • ■ 先進国株式(除く日本)8.9%
  • ■ 先進国債券(除く日本)33.4%
  • ■ 先進国株式(除く日本)8.9%
  • ■ 先進国債券4.8%
  • ■ 先進国株式3.7%
  • ■ 先進国ハイイールド債券(除く日本)3.5%
  • ■ 新興国債券3.2%
  • ■ 新興国株式2.7%
  • ■ 先進国ハイイールド債券1.8%

実質信託報酬は1.4404%です

今日の基準価格は10103円でなんとか上回ってます。

割と目新しい損失限定の文字があるので売れているようですが、注意しないといけないのが株式の比率が15%程度だというところと短期金融資産が38%というところです。

設定日は2017年7月28日なのでNYダウが22000ドル程度、日経平均は2万円を少し割り込んだ程度、為替は110円を割った程度で今と比べると為替は同じくらいで株は結構下です。

元本割れしてないからいいという見方もできますが、よく内容を見ると普通のバランスファンドです。足下株価の上昇と債券価格の上昇が支えているとみられますが、基準価格は103円プラスは少し物足りないです。

因みに2018年年末は株価下落の影響で9559円まで下がっていました。

一方で信託報酬ですが割と高めです。ヘッジコストがかかったり、コストが運用にかかりそうな仕組みなので仕方ないですが、今まで約2年運用なので2.8%支払っている計算になります。基準価格に対して280円です。

個人的には信託報酬累計を下回るパフォーマンスの投信はいかがなものかと思ってしまいます。

また、株式比率が小さいので変動が少ない事は事実ですが、それならこのファンドの購入金額の15%の金額で世界株インデックスファンドを購入した方が良さそうです。と、いうのが、開示資料を見ると世界各国に分散投資をしていますが、アムンディ、iシェアーズ、バンガードの名前が並び、中身はETFの組み合わせです。また、短期金融資産は信託報酬以下の利回りの可能性も高いです。

そこまで理解して購入するのは厳しいかもしれませんが、少なくとも、どうやって、何で運用するのか、想定される利回りなどは最低限聞いて投資をした方が良さそうです。