投資アドバイザーの選び方

お金のアドバイザー玉石混交 2019年7月19日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47492130Y9A710C1EA1000/

  1. 独立系金融アドバイザーには、お金やライフプラン全般の相談に乗るファイナンシャルプランナー(FP)、株式や投資信託などを仲介する金融商品仲介業者(IFA)、商品を売らず投資アドバイスに徹する投資助言業者などがいる。それらを兼ねる人もいる
  2. 大手IFA会社の社長は「IFAは玉石混交。顧客本位かどうかで見ると8割は”石”」と分析する
  3. IFAは純粋なアドバイザーではなく、投信などを金融機関に仲介し、販売手数料や信託報酬の一部をもらう外務員(販売業者)、伊藤宏一・千葉商科大学教授は「収益構造の基本は金融機関と同じ」と指摘する
  4. 独立系FPだから安心」と思って相談したら、高コストの外貨建て保険に必要もなく加入させられた、などの声は非常に多い。
  5. 商品を売らず投資の助言に徹するのは投資助言業だ。預かり資産残高の一定比率の報酬を顧客からもらうことが多い。しかし法令順守に関する金融庁の監督規制が厳しく、個人での登録者は極めて少ない。
  6.  変革の動きはある。顧客本位を重視するIFA会社が中心となり、業界団体を近く設立する。回転売買をさせるIFAを加入させなかったり、将来的には商品の品ぞろえや手数料を開示させたりすることも検討する。金融機関の手数料から顧客残高に応じた報酬へ、収益構造の転換を模索するIFAも一部だがいる

感想

私も証券外務員ですのでなるほどなぁと思っていたことが書かれてました。今は企業に属して営業していますが、1年くらい前にIFAになるか考えて説明会に行ったことがあります。

ただ、その時に感じた印象は、業者側はぼんやりとした良いことしか話さないし、参加している人が今ひとつお金を託すには頼りないなぁと思い、まだ時代はこちらじゃ無いなと思って独立をやめた経験があります。

どうして参加者が頼りないと思ったかというと、これはどの業界でも同じだと思いますが、頼れそうな人とそうで無い人の感じる雰囲気です。参加している人が暗かったり、若すぎたり、質問内容がおよそ顧客に対してのことでは無かったりとちょっと一緒に働くにはどうかなと思ってしまいました。記事の中にIFA法人の社長の「8割が石」と話されているのはその業界で営業職員を抱える立場で言うのは無責任と感じますが、当時私が感じた感覚は正しかったのかもしれません。

また、参加した会社は参加当時では契約アドバイザーは800人超おり、預かり資産が合計で3000億円位だと説明してました。となると1人当たり4億円になります。

業界にいる人ならピンとくると思いますが、この預かり資産では正直生活はできません。

大体証券会社の手数料は預かり資産に対して0.7%位から1.5%位が業者の売上になるケースが平均的で、IFAはどこかのIFA法人に所属していて自身の給料に50ー70%が還元されます。

と、なると4億円だとすると業者側の手数料は大体280〜600万円位が相場で、勤務するアドバイザーは140〜420万円が年収となります。

給与への反映率は会社に対してあげた手数料の額によって変わる方式を採用している会社が多いので280〜600万円の年間手数料では良くても60%がいい所だと思われます。となると170〜360万円の収入で、ここから営業にかかる交通費や接待費、システム手数料などを払うと生活費はあまり残らないと想定されます。

もし、預かり資産が4億円でも良い収入を受け取っているIFAがいたとしたらそれはかなり回転売買を行っているか、高コスト投信の乗り換え売買を行っているか等が考えられ、これでは顧客目線とは言えないです。

もちろんアドバイザーによって預かり資産が50億円を超えるような人と、1億円にも満たない人もおり、全員が同じということではありません。

しかし、顧客から見るとだれが優秀で誰がダメかはわかりません。経歴が立派でもダメな人もいますし、若くても優秀な人もいます。

現状証券会社からの転職組が多いので運用の提案内容が証券会社流になりがちで、ややもすると手数料の高い投信販売や株式の回転売買、リスク許容度に合わない高リスクの仕組債販売に走ったりも見受けられます。

もちろん志を持って独立した人もいて応援したい人も多くいますが見分けがつかないのが難しい所です。

そこで、私なりの業界人から見た営業マンの見分け方ですが以下の様に考えます。これは独立系であってもそうで無くても同様です。

  1. 話していて違和感を感じないか、相性は合うか
  2. 自分のお金に対する悩みを聞いてくれる姿勢があるか
  3. 提案内容が自分の思いを形にしてくれると感じられる商品、又は構成か
  4. リターンとリスク、メリットとデメリットの説明はわかりやすいか、シナリオ通りにならなかった場合の想定の損失についてしっかりと説明があるか

だと考えます。

まず、相性の問題ですが、いくら優秀で素晴らしい人であっても話していて合うか合わないかは一番大切です。合わない人とは会いたくないし、会いたくないと感じているということは担当者も会いたくないと思っているかもしれませんので関係が続かない可能性が高く、運用が継続できない可能性が高いです。

次に、話を聞いてくれる姿勢と提案内容ですが、面談時や電話で話した時に私は顧客のリスク許容度を図りながら話を聞く様にしています

例えば今まで投資を行ったことのない人には入口として案内するのは米ドル債位までで、いきなり新興国株式や新興国債券、マザーズ株などがいくら儲かりそうだと思っても案内は控えます。

あくまで慎重に、利回りが低くても安定してそうだなと思える所からスタートするのが後々のトラブルを避けるセオリーで、担当者が自社の売り込みたい又は独りよがりの商品を売り込んで来てないか、提案内容と自分が伝えた話がどうリンクするかを担当者に良く聞いて下さい。その上で納得できるかが重要です。

「この提案はなぜ私にふさわしいと思ったのでしょうか?」

「以前話した内容から見てどう関連しますか?」と聞いてみてください。

納得できないならその場は一旦終えて他に提案はないか聞いて、数回繰り返したら要望に近づくか、離れるかで今後の付き合いを考えた方が良いです。

リスクやリターン、想定損失ですが、業界の癖として美点凝視の傾向があります

株式を販売するにあたっては株式は会社の美点を評価して上昇する傾向があるので、かつては株式を中心に取次を行なっていた証券業界としては伝統的に当たり前だった文化なのですが、

時代が変わり、株式から投資信託、ファンドラップ、債券運用と貯蓄系の商品が多くなってきて、顧客も「株を買うなら証券会社」的な、証券会社に毎日同じ来て株価ボードを眺めて注文を出す様な顧客はもはや絶滅危惧種で、殆どいません。

銀行金利が低いから何か代わりの考えがないだろうかと思ってやってくる人が多数派です。この様な考え方の人は余り大きなリスクをとるつもりや心構えは無い人が多いのですが、

美点凝視の担当者の場合はひたすら良い場合の想定ばかりを話しして、さも儲かりそうなシナリオを中心に持って来てできるだけ大きな金額を約定させようとします

例えば将来大幅な円安になる、株価は上がる、10%以上の金利がつく話等を強調するケースです。

ここで大切なのは、こちらから要求したシナリオが大きなリターンを求めての上での提案なら良いけれど、そうで無い場合や、担当者と相談についての話が深まってなかったり、リスクを大きく取りたくない話をしていたのにこの様な提案が最初に来た場合は要警戒です。

また、個人的意見ですが、リスクをあまり取りたくないにも関わらず、EBと呼ばれる株式系仕組債やトルコやブラジル等の新興国関連商品を最初にいきなり案内する担当者も要注意です。人柄が良くても提案が独りよがりに陥りやすいタイプの可能性が高く、意識せず、儲かると思うから良いだろう的な提案をしてくる担当者の場合が多いです。

運用商品はリスクがあるからリターンがある訳で、高い想定利回りの商品は高いリスクの裏返しで、シナリオ通りに行かなかった場合、過去にどれだけ損が出たかを話してくれる人を選ぶと良いと思います。

また、これは今担当者と付き合っている人への注意点ですが、

儲かっているから良いとは思わないことです。運用なので大きな損をしてしまっては意味がありませんが、かといって儲かっているから良いということではありません。

もしかすると儲けの裏側に、自分が想定してない大きなリスクを取っている可能性があるかもしれず、いざ相場が崩れた時に今までの利益を超える大きな損失を抱えるリスクがあるかもしれません。担当者と定期的に保有商品のリスクを確認すると良いです。

逆にあまり儲かってない場合はなぜなのかを良く聞いたほうがいいです。もしかする極端にリスクを取らない運用に偏っているか、純粋に内容がダメなのかこれも担当者の説明を良く聞いた方が良いです。場合によっては方針を変更する必要があるかもしれません。

また、新聞に書いてある手数料体系についてですが

手数料体系を変えれば全て解決かというとそうではないです。

確かに売り切り型営業の場合は売買手数料が担当者の主要な収入源になるので売買頻度を上げよう、買ってもらうために美点凝視のセールスをしようとなる要因になるのは確かです。

では手数料を預かり資産に対して一定割合のサブスク型に切り替えると担当者が急に顧客重視になるかというとそんなはずはなく、

場合によっては何もしなくても手数料が入るので本当にほったらかしになるリスクもあります。ほったらかしなのか、方針を合意した上での長期保有なのかは同じ売買をしなくても大いに違いがあります

担当者に全て任せきりにせず、常にこちら側の要望を継続的に伝え、一緒になって考えて改善の努力を継続してくれるかどうかの姿勢が担当者にあるかどうかが最も大切です。これがあることが前提で、手数料体系を運用パフォーマンスが、より良くなる体系はどちらなのかを互いに腹を割って話した上で決めるのが理想です。

例えば外国債券を購入する場合、一般的にIFAでも証券会社でも2〜5%位の販売手数料が込みになっています。もし、年間助言手数料を1%払う契約だとした場合、もし、満期10年の債券を満期まで持ちきりのつもりで買う予定で購入するなら助言手数料を払うより、売り切り型で購入した方が結果的に安い事が多いです。

割と売買を年に数回行う様な運用方法ならば累計の手数料が嵩むので、預かり資産に対しての助言契約にした方が良いかもしれません。

また、途中で運用方針を変更するのであれば手数料体系を変更するのも選択肢です。

ただ、手数料体系を頻繁に変えてしまうと担当者が離れてしまい、良い提案が来なくなるので変える時は慎重に話し合って決めるべきです。

色々話してきましたが、全ては顧客と担当者に信頼関係があれば解決する問題です。

中々人を前にして色々言いにくかったりするかもしれませんが、お金はあくまで顧客の財産であり、財産の悩みを解決し安心感を得るために担当者をネットよりも高コストで選んでいるわけなので厳しい目で見る必要がありますし、人だからこそ和多くの疑問や要望を正確に伝えて担当者と議論する必要があります

最後に注意ですが、いくら担当者といっても人間です、家族もいれば生活もあります。もし、この人ならじっくり相談できると判断したならばひたすら手数料叩きをしていたらどれだけ多くの資産を保有していても親身になる提案はしてこないでしょう。

担当者も顧客もお互いがじっくりと継続できる関係とこれにかかる費用が大丈夫か、適正かを時々はチェックしながらお互いある程度の緊張関係を保ちながらが長続きします。

難しいですがこれが理想的な関係です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です