アルゼンチン投資をしたら?

最近色々とお騒がせな国のアルゼンチンですが、実は2006年頃は株式投資ブームの一角を占めた国です。BRICsと並びVISTAなんていう造語もできてこれから有望な国だ!と言われていました。

BRICsの名付け親は、投資家でもあり、経済評論家のジム・オニール氏でブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称です。

一方でVISTAとは日本独自の話で、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの英語の国名の頭文字を繋げたもので名付け親は門倉貴史さんという経済評論家です。

あ、日本人だったの?と思う方、門倉さんは凄い有名人です!

明石家さんまの「ほんまでっか!?TV」に出ているいじられキャラのあの門倉さんです!

まぁどうもジム・オニール氏と比べるとテレビでよく見ているせいかなんだかなぁと思ってしまうのは個人的感想として、門倉さんは著書『日本人が知らなかったVISTA株』翔泳社で各国の良いところを紹介しています。

さて、それではそのVISTAのAにあたるアルゼンチンの為替を見てみましょう。

さて、どう思われるでしょうか?月足で結んでいくととても美しい右肩下がりです。35円だったアルゼンチンペソは今や2円を切ってきております。

色々な事件があり、2008年はリーマンショック、2014年はデフォルトがあったり、直近では市場フレンドリーなマクリ大統領が予備選挙で野党のフェルナンデス候補に負けて為替や株が下がったり、格付けもフィッチがCCCにしてしまったりとまたデフォルト懸念が出ています。ただ、長期チャートで見るとここ最近の動きがほとんど見えません笑

しかし、アルゼンチンがそんなにダメな国かというと実はそうでもありません、確かにこの国はデフォルト常連国です、最近では2001年、2014年に起こし、そのたびに為替も下落しています。

ただ、2015年12月に現職マクリ大統領が就任してからは経済は安定します、就任後に100年満期の米ドル国債発行を行い、過去のデフォルトで被害を被った投資家の信頼回復に努め、IMFから440億ドルの支援もとりつけています。ただ、インフレだけは中々収まらず、直近は年率50%を超えるインフレ率だそうで庶民の生活は苦しい状態のようです。

株価ですが、マクリ政権発足後から本格的に上昇をはじめメルバル指数はピークで4倍近くまで上昇しています。

さて、ここで単純な事なのですが、この為替と株価は日本人から見ると果たして儲かる国だったのでしょうか?

確かにアルゼンチンは人口が4000万人、一人当たりのGDPも14,000ドル程度あるようでそんなにダメな国ではないです。今後も発展できないかというとそうでは無いし、一時VISTA株ファンドなるものもそれなりに出てきて投資家に宣伝されていた地域ではあります。

で、よく投資信託だと現地の株価指数がパンフレットに載っている場合が多く、メルバル指数だけを見るととても儲かりそうな印象を受けます。

しかし、日本人は日本円での取引なので為替と株価をかける必要があります。

なので単純に指数×為替を行ってみました。

すると、かなり違う結果が出ました。

確かにリーマンショック後当たりでアルゼンチン株に投資をすればある程度の利益は出ますが、それなら日経平均でもNYダウでも同じです。

マクリ大統領就任の2015年年末ごろに購入していたらどうだったかというとどう見ても半値近くになっています。

現地の株価指数が今でも大統領就任近くと比べると3倍程度にも関わらず、(2015年12月11675→2019年8月30406)為替が同期間で約1/5(2015年12月9.29円→2019年8月1.93円)なので負け負けな状況です。

良く証券会社が経済発展を売りに新興国の株式や債券を売り込んでくると思いますが、過去の為替、特に10年以上前の為替は要チェックです。

また、為替って特に新興国為替というものは何円でもいいんですねって思ってしまいます。

ちょっと気になるのでしばらくこのシリーズを続けたいと思います。