日経新聞の読み方勉強会

日経新聞の読み方、利用の仕方の勉強会に参加してきました。人数は私を入れて10人程度でした。昼の1時から6時までの結構ハードな勉強会でした。

新聞を読む意味

政治的論議を交わすためではありません、経済や投資に関わる人なので政治的な主張は後回しです。大切なのは

  1. 政治や経済の動き、社会の変化などを感じ取るため
  2. 自分で情報を整理して、世の中の流れがどうなっていて、今後どうなりそうなのかを考える
  3. 経済データ、市況情報を捉えて現状の確認、今後の方向性の確認を行う

誰でも手に入れられて、すぐに活用できる情報媒体で新聞を上回るモノは存在しません。

新聞の読み方

特徴的なことでは新聞は「後ろから読め!」でした、普通「前からだろ?」と思ってしまいそうですが、前からだと新聞社の意見や読ませたい方向があり、ややもすると偏った捉え方になってしまうかもしれず、後ろからしっかり読んで、最後に前からもう一度読み直す手順の方が新聞社に誘導されずに情報だけを取り出しやすいそうです。

また、注意したい新聞との付き合い方としては「新聞に真実を求めてはいけない」でした。

世の中で起こっていることの殆どが真実かどうかを確認することができない、真実は本人しか知らない、我々が知りたいのは「投資に活用できる情報」であって「なぜこのようなことが起こっていて、今後どうなりそうなのか」を想定する情報、つまり、「物事の本質」は何なのかを掴むこと。と講師はおっしゃってました。

例えで出ていたのが「歯磨き粉のチューブ」を影にした状態で、正面から見ると「丸」で横から見ると「鉛筆」の用にとがっていて、前から見ると「四角」と全く同じものでも捉え方によって全く変わる、でも投資家としてはこれは「歯磨き粉のチューブなんだよ」ってことだけを捉えられれば良いと話されてました。

新聞で掴む内容

  1. キーワードから見える世の中の変化
  2. データ
  3. 日本や世界の景気や政策の方向性
  4. トレンド

です、これらを掴むのはきちんと読めば意外と簡単です、ただ、見落としやすいポイントでもあります。

まず、1のキーワードを掴むですが、以下のような言葉を拾うと良いそうです。

  • 「~ぶり」「~以来」「初」など久しぶりに起こったかはじめて起こった現象を示すワード
  • 「最」例えば最高、最低など今まで無かったことが起こった現象を示すワード
  • 「新」新発売、新記録・・「発」発売、発明・・など新しいものが始まることを表すワード
  • 「転換」「転機」など大きな変化が起こることを示すワード

これらから見えることは「今までに無かったこと」を掴もうという事です、投資を行うためにはとても重要です。というのが、景気や設備投資、建設投資にはそれぞれサイクルがあってそのサイクルを掴めば、今は上り調子なのか下り局面なのかを判断し、投資を行うかやめるかの判断ができ、周囲の金融機関に振り回されないで済むわけです。

2のデータを掴むですが、「ストック」「フロー」どちらに所属するデータなのかを掴む必要があります。

例えば自動車が100万台売れた!と言っても元の世界の販売台数がわかっていないと規模感が掴めません(世界は約1億台毎年販売)。これはフローの数字です。

また、世界中の車の保有台数、これはストックのデータですが、これは約13億台あります。これらのデータは新聞では断片的に出てきます、なので一度出たデータを控えておくと良いと思います。

新聞は○○が何億円!とか絶対額しか出さない記事も多いですが、金額に惑わされず、全体からみた割合で判断する癖をつける事が大切で、そのためには新聞に出てくる沢山のデータを掴んで整理しておくと役に立ちます。

3の日本や世界の方向性ですが、これは景気動向指数、政策発表、GDPのデータなどです。

ここで注意するのは景気を表すたくさんの指標ですが主に3系統あります。

  1. 先行指標−将来の方向性を示す指標(マーケットの指数や株価等、在庫、受注、着工等)
  2. 一致指標−世の中の今を示す指標(生産、出荷、販売、利益等)
  3. 遅行指標−世の中の状況を後で確認する指標(消費、雇用、物価、設備投資等)

新聞にはまだらに出てきます、例えば住宅の着工件数が大幅に冷えてきている指標が出て株価が下がった翌日に失業率が最低を記録したとかで株価が上昇するなどよくあります、ただ、着工は先行指標に属していて、失業率は遅行指標に属するので景気が良かったから求人は未だ好調だけど先行き不安感が出てきていると解釈する訳です。

これも覚えないといけないというものではなくて、企業の活動はまず受注、着工などがあって出荷、生産、販売、利益が上がる、そして利益があるから人を増やして投資も行うの順番なのでこのサイクルを覚えておけば自然に新聞から景気の今、昔、将来をある程度掴めます。

最後に4のトレンドですが、これはたくさん出てきているキーワードだったり記事だったりから類推する作業です。例えば最近なら中国とアメリカに関する記事が膨大に出ています、また、AIに関する記事も多数あります、ここ最近で増えてきているなと感じる記事を集中的に追う事で将来どうなるのかな?と考えて投資に役立てるわけです。これは慣れが必要です、注意していないと新聞からトレンドがわからないからです。

最後に

勉強会では、各自キーワードから類推したシナリオなどを発表し、株式市場などの指標をノートに書き写す指標ノートを作る手順を最後に行い終了となりました。

私も新聞は毎日読んでますが、何かをつかもうと考えながら読むと1時間位はかかります、結構骨の折れる作業ですが、続けると中々役に立ちます。

その新聞社の政治に関する主張は興味がないですが、世の中に何が起こっていて、これがどうなりそうなのかを確認するには新聞はとても役にたつなぁという事を再確認した勉強会でした。今後も参加を継続したいと思います。