インフラ整備費問題

老朽インフラ 日本の岐路に 2019年9月14日 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO49820850T10C19A9MM8000/

記事の内容

  1. 台風15号は生活インフラが抱える災害リスクを浮き彫りにした。1970年代に整備が進んだ送電施設は更新時期が迫り老いるインフラは道路などにも共通する課題
  2. 送電線の鉄塔は70年代に建てられたものが大部分を占める。倒壊し、10万戸の大規模停電につながった千葉県君津市の鉄塔は72年に完成したものだった。
  3. 機関は既存の設備を現在のペースで全て更新した場合、鉄塔で250年程度かかる計算としている。
  4. 国土交通省の試算では今後30年間のインフラ整備費用は合計で195兆円

普段から電気はスイッチをつけたりコンセントに挿すと使えるものとイメージを描いていますが、今回の大規模な停電はいろいろ考えさせられます。

継続的な投資とメンテナンスによって支えられているものです。

電気がないと困るものというと身の回りの生活全てと言ってもいいと思います、マンションなどは水を組み上げるポンプが作動しないため水も出なくなるといいます、また、携帯も電気ですし電源がないと政府が進める電子決済もできません、もっと言うと我々金融機関も全く動かなくなるのでお金の出し入れもできなくなります。

また、熱中症と思われる死者まで出ていますし、人工透析などにも影響が出るので人の命に関わります。

かなり病院などでは自家発電設備を導入しているようですが不足だと思います。

そもそも東日本大震災や昨年の大阪を襲った台風21号の時になぜもっと色々マスコミも言わなかったのか、首都圏だからより騒いでいるのか?と疑問に思いますが、今後対策が必要な分野です。

費用の試算

この中にある195兆円と言う数字には少しカラクリがあります。

国土交通省の試算に変更が加えられた後の数字で元は285兆円が正しい数字です。

ただ、国土交通省は事故が起きたり故障してから取り替えるのを事後保全といい、これで試算していたのですが、メンテナンスを行い、強化を継続して行う予防保全を行う方針で、これだと最大195兆円に約3割減る試算を出しています。

では、今回はどちらにあたるか?というと鉄塔が倒れているので明らかに事後保全にあたります。つまり高いわけです。

ここから30年間の累計で285兆円と言うと毎年約9兆円になります、この費用をどこで賄うかがいつも議論になりますが、みんな壊れてからでないと費用負担を容認しないため今後も議論が進むとは思えません。

主な要因は少子化、過疎化による人口減少

人口が今後は減ることが確実なため、日本全国で同じ費用で同じインフラということはもはや不可能です。この現実を政治家は言わないようにしてきています。

今まで大都市で地方のインフラ費用を賄ってきたものの、もはや人口が増える地域が首都圏に限定されてきたので他の大都市も地方を支える余力がなくなってきています。

また、過疎化が進んでいるためこれも都会と同じインフラを整備する費用が足りないのが現状です。

では解決策は?

ある程度地方には一人当たりのインフラ整備費用を負担してもらうか、それがダメならインフラを削るか、移住して一定の地域に住んでもらうかしかないと思います。地方の良き文化が無くなるリスクはあります。これについて全て東京と同じは無理だと思います。

費用の問題だとしたら?

これは政治や利権が絡むのであまりお勧めではないですが、費用を捻出するならインフラ目的の国債発行だと思います。今回、鉄塔が耐用年数が40〜50年だと言うならば50年債を発行する必要があると思います。

今後、社会保障費も増えます、インフラの老朽化も進みます、一時凌ぎの消費税に頼るには限界があります、国にとっては信用力が毀損するリスクはありますが、50年、100年と言った超長期国債を検討する時期が来ていると思います。

個人は益々外貨や金と言った資産分散を考えないといけない時期にここからいよいよ入ると考えたほうがいいと改めて考えさせられる記事でした。