積立投資における投資信託の選び方③日本株編

さて、前回ではグローバルに投資をする中で世界株式を中心とした投資信託で選び方をお伝えしました。

今回は日本株編です。一部日本株を中心としつつグローバル型の投資信託もありますが、これは次回に解説いたします。ここでは日本株限定とします。

前回の基本項目は以下の通りでした。

  1. 商品分類〜どこに投資するか
  2. 残高〜どの位支持されているか、早期償還?
  3. 運用期間は何年?
  4. 運用方針〜パッシブ?アクティブ?ベンチマーク?
  5. 手数料は?

これを基に以下の項目でスクリーニングを行います。

  • 今回は日本株式ファンドから選ぶ作業なので日本株式を
  • 投資地域は日本を
  • 純資産は100億円以上を
  • 償還期限が無い投信を

前回同様SBI証券のホームページから投信パワーサーチを利用します。条件を入力します。

すると14銘柄が候補で出てきます。

チェックその一 運用資産残高

同じくパワーサーチで出てきた14銘柄を残高順で並べ替えます

ニッセイが強いですね、ニッセイだけで4銘柄あります。

チェックその二 運用期間は何年?

前回同様全て無期限なので残高クリアしていれば早期償還リスクは考えなくても良いと思います。

チェックその三 運用方針〜パッシブ?アクティブ?ベンチマークとは?

運用方針を見てみましょう。

上から出てきたベンチマークを順番に抜き出します。

  1. 日経平均株価の動きに連動する
  2. TOPIXをベンチマークとし、中長期観点からこれを上回る
  3. 日経平均株価(日経225)と連動する
  4. 日経平均トータルリターンインデックスと連動する
  5. TOPIXと連動する
  6. 日経平均株価と連動する
  7. 徹底したボトムアップ・リサーチで勝ち組企業の選定を行います
  8. TOPIX(東証株価指数)に連動する
  9. 東証株価指数(TOPIX)(配当込み)と連動する
  10. 日経平均株価(日経225)に連動する
  11. 東証株価指数と連動する
  12. ファンダメンタル株価比割安性(バリュー)を重視し、収益性・成長性を勘案したアクティブ運用を行います
  13. TOPIX(東証株価指数)に連動する
  14. 東証株価指数(TOPIX)(配当込み)と連動する

投資信託によって書き方がバラバラなのでわかりにくいですが以下にまとめられます。

  • 日経平均株価(日経225)〜1、3、6、10
  • 日経平均トータルリターンインデックス〜4
  • TOPIX(東証株価指数)〜2、5、8、11、13
  • TOPIX(配当込み)〜9、12、14
  • なし〜7

ベンチマーク解説 日経平均株価(日経225)とは?

日経平均株価は東京証券取引所第1部に上場している225銘柄を対象とした日本の代表的な株価指数です。
日経平均は権利落ち修正方式により算出しています。採用銘柄の株価合計を225で割る単純平均株価ではなく、株式分割・株式併合や採用銘柄の入れ替えなどによる影響を修正し、指数の連続性を保てるように計算しています。

要は「日経新聞社が日本を代表する銘柄を色々な角度から225社選んで昔からの連続性を保てるような計算をして今に至る指数」です。計算方法は以下の通りです。

※株式には額面という考え方があります、最初に株を発行する際に資本金を発行株数で割って〇株数発行としていました、株式の額面制度は2001年の商法改正で廃止されましたが、現在も株価形成には旧額面が反映されており、個々の銘柄によって50円、500円、5万円などそれぞれ株価の水準が異なります。日経平均株価の算出の際には、株価水準を調整するため、旧額面50円以外の銘柄をみなし額面50円に換算したうえで計算されます。

ちょっとわかりにくいですが、みなし額面は日経新聞社が計算して決めています。日経新聞社が計算して、それらを改めて全て50円額面だとみなして株価を修正して出てきたそれぞれの株価を全部足します。この全てを足した株価を日経新聞社が計算した除数で割って株価を出します

序数は日経新聞で公表されています。最新では7月末で27.497です。https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/newsroom?idx=nk225

日経平均株価の利点と問題点

利点は日本で最もポピュラーな株価指数だという事です、株式を見るときにこの指数が1番多く語られます。わかりやすさでは飛び抜けています。

難点は株価が高い銘柄の影響力が大きくなってしまうことです。

例えば9983ファーストリテイリングは50円額面で株価は65000円くらいしています、時価総額は約7兆円です。同じくらいの時価総額の会社が8306三菱UFJファイナンシャルHDです、7.7兆円あります、50円額面です、株価は560円程度です。

ただ、この2社ですが、日経平均上では同じ額面なので単純に足されて序数で割ります、65000円の株も560円の株も足して除数で割ってしまいます。

となると三菱UFJが10%上昇しても日経平均には56÷27で2円位しかインパクトがありません、ファーストリテイリングが10%動くと6500÷27で240円位のインパクトがあります。

時価総額は三菱UFJの方が大きく10%なら三菱UFJ7700億円、ファーストリテイリング7000億円なので実際には三菱UFJの方がインパクトが大きいのですが日経平均株価の中では違います。

また、日経平均株価はETFを通じて日銀が購入しているから価格が無理に高いという批判もあります。

ベンチマーク解説 日経平均トータルリターンインデックスとは?

日経平均株価の解説は先ほど行いましたが、これには配当金は計算に含まれていません、一方で投資信託には配当金が入っており、再投資されています。配当がないものとある物を比較するのは如何なものかという批判もあり、最近では配当込みで表す日経平均株価指数をベンチマークにする投資信託も増えています。

年間で2%配当が出ているとした場合、仮に10年投資を継続すれば少なくとも20%は配当が入ります、再投資することを考えると配当ありとなしでは大きな開きが出ます。

ベンチマーク解説 TOPIX(東証株価指数)とは?

野村證券の証券用語集ですhttps://www.nomura.co.jp/terms/japan/to/topix.html

特徴は東証一部に上場している全ての国内企業の株式を算出対象としていることで日経平均株価よりカバー範囲は広いです。

また、時価総額を基準に計算しているので日経平均株価の様にファーストリテイリングと三菱UFJのインパクトが大きく違うということもありません。こちらの指数の方がカバー範囲は広いです。

ではこちらが完全かというとこちらにも難点はあります。

算出する時価総額に浮動株基準というのがあり、株式全てではなく、機関投資家などの持ち合い株等売買に出てこない株は除き、普段売買されている株式の量を基準とするため株式を大量に市場に売り出すなどを行うと比率が上昇したりします。

とは言え東証1部は2019年9月20日時点で2152社あるので割と薄まります。

ベンチマーク解説 TOPIX(配当込み)とは?

これもTOPIX単体では配当を考慮していないため配当金も含めた価格で表した指数です。投資信託のベンチマークとしてはこちらの方がより実態を表していると思っています。

ベンチマークなしとは?

これは投資信託が何かを基準に投資をするのではなく、独自に頑張って利益を出します!と宣言しているものです、アクティブ(積極)ファンドと呼ばれるものです。

パッシブ運用とアクティブ運用

世界株では全て何らかの指数に連動するパッシブファンドでしたが、今回は違うものもあるので見分け方を見ておきます。

もう一度運用方針を掲載します。

「〇〇に連動する」と書いてあるのは全てパッシブファンドです、対象指数と同じ動きを目指します。

2、7、12番目のコメントはベンチマークを「上回る」か書いてないかで、これらを積極的に利益を得ようとするアクティブファンドと呼びます。

ニッセイ-ニッセイ日本株ファンドと三井住友DS-大和住銀DC国内株式ファンドはTOPIX(配当込み)をベンチマークにしており、日興-年金積立 Jグロースはベンチマークがありません、ここはTOPIX(配当込み)に連動するファンドで1番残高が多い三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドと比較してみます。

パフォーマンスは結構バラツキがあります、1番長い3年間でのトータル騰落率では

TOPIX(配当込み)に連動する三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドを上回れた物と上回れなかった物があります。

特に日興-年金積立 Jグロースのパフォーマンスが高いです、お互いの月報を見てみます。

まず連動する方を見ます、トヨタ、ソニー、ソフトバンクとおなじみ銘柄ですね。では日興-年金積立 Jグロースはというと、

TOPIX全く無視です笑、独自に良い!と思ったら比率を引き上げています、銘柄数ですが、連動する三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドが2088銘柄組み入れに対して117銘柄ととても少ないです。

これがアクティブとパッシブの違いです。投資信託に預けて銘柄選定の巧拙もお任せで信頼する必要があります。

各ベンチマーク毎の銘柄比較 日経平均株価

では、各ベンチマークの解説が終わりましたので各ベンチマーク毎にファンド比較を行います、まずは日経平均に連動する投資信託からです。5本ありました。

ベンチマークが日経平均株価の配当込みでも込みでなくてもあまり違いは出ない様です。

チェックその四 手数料比較(日経平均)

手数料ではOneーたわらノーロード 日経225が1番信託報酬が安いですね、なのでこの銘柄がいいかなぁと思います。

各ベンチマーク毎の銘柄比較 TOPIX

TOPIXに連動する投資信託は6本あります、パワーサーチが同時に5銘柄までしか表示できないため二度に分けて作成して比較します。

ベンチマークが同じで連動するパッシブファンド同士なのでそれ程大きな違いは出てないですね、やはり手数料比較になりそうです。

チェックその四 手数料比較(TOPIX)

手数料に相当する信託報酬は1番低いのが2銘柄、ニッセイTOPIXインデックスファンドと三菱UFJ国際–eMAXISS Slim 国内株式です、パフォーマンスもあまり変わりません、あえていうなら残高が多いニッセイTOPIXインデックスファンドになると思います

最終 パフォーマンス等銘柄比較

各分野で候補に残った銘柄を改めて書きます。

  1. Oneーたわらノーロード 日経225
  2. ニッセイーニッセイTOPIXインデックスファンド
  3. 日興-年金積立 Jグロース

改めてこの3銘柄を比較します。

パフォーマンスですがあれ?と思いませんか?ここに出ているものは全て日本株を対象にしています、ただ、3年間の騰落率とパフォーマンスを見ると実は日経平均が凄いです。TOPIXとも違うしアクティブファンド並みに良い成績です。

これが日銀パワーです、買い入れ政策効果です、一方でTOPIXは買入対象外なので大きく劣後しています。

次に手数料です。

パッシブファンドとアクティブファンドの大きな違いは運用を投資信託の運用方針とファンドマネジャーにお任せするか、全くせずに指数に連動させるだけにするかの違いが最も大きいですが、それに伴いアクティブファンドは信託報酬が高くなる傾向があります。約5倍の差があります。

ではどれを選ぶかですが、ベンチマークを上回り続けることを期待するならアクティブファンドになりますし、日経平均株価が日銀の買い支えがあって期待できるとなると日経平均株価連動、いやいや全体を捉えた方が安心となるとTOPIX連動となります。

あくまで私見ですが、私なら日経平均株価連動を選びます。アクティブファンドがベンチマークを上回り続けるのが10年も20年も続くとは思えないことと費用が違うのは長期で重たいです。

また、TOPIXは全体を捉えた指数としては日経平均より優れていますが、やはり国策に乗る方がいい様に思えます。