インドの自動車販売急減について②

さて、前回インドの自動車販売不振の要因を新聞記事から以下の様に並べました。

  • 経済成長減速
  • 自動車ローンを扱う金融機関の貸し渋り
  • 車の保有者に義務づけられる自動車保険の負担増
  • 20年4月導入計画の排ガス規制前の買い控え
  • 燃料費高騰

そのうち、経済成長減速はデータで、金融機関の貸し渋りは銀行健全化政策の影響とまとめました。

では、自動車保険等他の項目を見ていきましょう。

インドの自動車保険の記事

インド車市場に「三重苦」 販売8カ月連続マイナス 2019年7月26日日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47808120W9A720C1000000/

  • インド保険規制開発庁は18年9月、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の加入期間の義務付けを従来の1年間から3年間に延ばした
  • 排気量1500cc以上の場合、約1万2000円だった負担が3倍になった

インド新車販売、伸び率過去4年で最低 2018年度6%増 2019年4月8日日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43478700Y9A400C1FFJ000/

  • 従来1年だった車両保険への加入義務付けを政府が安全性への配慮から3年に見直し。
  • マルチ・スズキによると「消費者にとって購入時の負担が1台あたり約9000ルピー(約1万4400円)増えた」とし、販売に逆風となった

これらの記事によると日本では加入が当たり前の自動車保険はとりあえず1年分を購入時に義務付けだけだったのが3年に伸びて1年あたり7200円位から12000円位費用が増えたことになります。一台あたりだと記事からだと14400円から24000円位車を買うときに払うお金が増えたことになります。

インドの損害保険事情 損保総研レポート 第106号 2014.1よりhttp://www.sonposoken.or.jp/media/reports/sonposokenreport106_1.pdf

まず、強制保険の箇所のスライドです

尚、保険の枠ですが、2018年9月に150万ルピーに引き上げられています。なので今は230万円程度です。

3年後はどうなるんだ?と正直思います。

加入が義務付けられてないので事故を起こされた場合保険に入っていない車がかなり多いと思います。

インドは事故が多い

レポートによると損害保険の最大のシェアは自動車保険で事故も多いとあります。

損害保険の半数が自動車保険
自動車保険や医療保険の損害率がとても高い

また、自動車事故による死亡者数はとても多いです。

在留邦人の皆様へ 安全の手引き 平成31年3月 在インド日本国大使館https://www.in.emb-japan.go.jp/Japanese/ConsularSection/safety.pdf

毎年15万人の死亡事故

日本が3500人程度なのでざっと40倍の人数です。

人口が13億人超なので人数での単純比は4倍です。

が、自動車普及率でみるとやや違います。

保有台数は日本の1/30

となるとざっくり自動車保有率が日本の1/30なのに日本の4倍の死亡事故に率と考えると自動車事故にあって亡くなる確率が日本の120倍とも言えます。

恐ろしい数字です。

ちょっと脱線続きで安全の手引きで交通事故にあった時の対処もあって、警察を呼ぶ、落ち着く、簡単に謝らない等普通なんですが、どう見ても普通じゃない文章が以下です。

①なんですが、日本だと事故現場から立ち去るとひき逃げになりますが、インドは逆で、早く逃げないと野次馬に襲撃される恐れがあるのでとにかく逃げろ!という事です。

なんにせよ日本と違いますね。

自動車保険料上昇はそんなに負担か?

一台あたり保険料が14400円から24000円上昇ですが、そんなに大きな負担なのでしょうか?

インドの国民所得を出してみます。

インドの一人当たりのGDPです

伸びは凄いですが、まだ人数が多く格差が大きい様です、2019年で2171米ドルなので日本円で22万円程度です。

中国はインドの5倍で日本円で110万円程度です。

日本は440万円程度です。

アメリカは700万円程度です。

日本がここ20年位殆ど変化していないのにアメリカが7割も増えていてこれに関しては色々言いたいですが、ここはインドの話なので置いておきます。

ランキングではこの様になります。

日本は一人当たりのGDPは世界で26位でイタリアや韓国、ニュージーランドと同じくらいです。

インドは142位でアフリカの国々やベトナムなどと同じくらいです。

もちろん国の中の所得格差が大きい国々なので単純には言えませんが、感覚としては中国は日本の1/4、インドは1/20なので価格をそれぞれかけてあげると近い実感だと思います。

となると、今回の自動車保険の変更はインド人のインパクトは1台あたり14400円なら30万円近く、24000円なら50万円位の価格上昇が日本人だと起こったのが同じなので結構キツイかもしれません。

軽自動車なら150万円位で買えるので30万円なら2割、1500cc位の国産車なら250万円位で買えるから50万円はやはり2割です。

さて、では次回は燃料についてと排ガス規制を調べてみます。