れいわ新撰組とMMT

「山本太郎人気」自民も警戒2019/12/15日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53304710T11C19A2EA3000/

  • 「安倍一強」が、たった参院2議席の新政党を意識せざるをえないのは、山本氏の存在感の大きさ
  • 7月の参院選時は4億円超の寄付金が集まる
  • ロスジェネ世代のほか、都心では20代やアラサーらしき若い世代が目立つ
  • 財源に関する山本氏の主張は、「消費税廃止」「金を配る」「財源は新規国債発行」など、いま米国を中心に話題の現代貨幣理論(MMT)に基づく政策
  • 「日本を含め先進国は低インフレに困っている。むしろ現金をばらまいてでもインフレになったほうがいいと、市場は好感するのではないか」。SMBC日興証券の下里裕吉クレジットマーケットアナリストはこう解説する。
  • 「『国債発行はインフレ目標2%に到達するまで』と制限しているが、金融政策と違って財政政策は硬直的。歯止めがきかなくなる危険性がある」とも指摘する

れ新に野党から熱視線2019/8/1日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48028110R30C19A7PP8000/

  • 次期衆院選に向け、野党内で台風の目になりつつある
  • 山本氏は「政権を取りにいく。衆院選で100人は候補を立てないといけない」と力説する
  • 山本氏は25日の民放番組で消費減税を共闘の条件にあげた。「減税は絶対に担保したい。最低でも5%への引き下げだ」と話す

記事より

2019年7月の参院選の議席は以下の通りでした。

圧倒的に自民党ですが、得票数は絶対的というわけではありません。

1強自民、3割台を維持=立憲は減少-比例得票率【19参院選】

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072200916&g=pol

公明党と合わせて半数程度という状態です、なので状況次第でコロッと変わるリスクもあり、ここに野党が期待をしています。

さて、政治的に良いかどうかはともかく、れいわ新撰組のホームページには政策が並んでいます。

れいわ新撰組公約

https://reiwa-shinsengumi.com/policy/

経済的に訴える政策

  • 消費税廃止
  • 安い家賃で住める公的住宅を拡充
  • 奨学金チャラ
  • 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
  • 一人あたり月3万円を給付。二人ならば月6万円、4人ならば月12万円
    インフレ率2%に到達した際には、給付金は終了、次にデフレ期に入った際にまた再開

職を作る政策

  • 保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化
  • 食料自給率を100%目指し大改革

公共事業

  • 防災庁を創設
  • 防災対策だけでなく水道、鉄道などの公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出
  • エネルギーの主力は火力

財源

  • 国債増発、インフレ目標2%に到達するまで
    到達後、金融引き締めで増税まで必要な場合には、税の基本(応能負担)に還ります
  • 法人税にも累進性を導入

外交

  • 地位協定の改定
  • TPP協定、PFI法、水道法、カジノ法、漁業法、入管法、種子法、
    特定秘密保護法、国家戦略特別区域法、所得税法等の一部を改正する法律、
    派遣法、安全保障関連法、刑訴法、テロ等準備罪などを一括見直し、廃止

福祉政策

  • 障がい者への「合理的配慮」を徹底
  • DV・虐待のない社会の実現へ
  • 里親・特別養子縁組制度の拡充
  • 犬猫殺処分ゼロに向け自治体による引き取り・収容・殺処分を改善

さて、これらの政策を見ていくと今の野党の主張がほぼ織り込まれていると思います、むしろ、与党の政策も取り込んでいます。

旧来の野党であれば財源は?となりそうなのですが、財源についての記述もあります。

国債をインフレ率2%到達まで発行することと法人税累進税を明記しています。

ただ、大きな弱点もあります、具体的にどの位のお金がいるのかがわからない点です。インフレ率2%にすぐなったらすぐに増税だし1人3万円の手当も渡せません、なった瞬間に政権が倒れそうでもあります。

一応どの位かかるか考えてみました。

お金はどのくらいかかりそう?

いくつか見てみます、大きくお金がかかりそうなのが

  • 消費税廃止
  • 奨学金チャラ
  • 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」
  • 一人あたり月3万円を給付
  • 保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化
  • 防災対策だけでなく水道、鉄道などの公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出

かな?と思います

消費税

税収、最高の60兆円超 バブル期から消費税は4倍弱に 2019/7/2 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46864880S9A700C1EA2000/

所得税は給与の伸びや株式の売却益の増加を受け、19.9兆円と1兆円増えた。消費税は個人消費の伸びで0.2兆円増の17.7兆円、法人税も企業業績が堅調で0.3兆円増の12.3兆円だった。予算の使い残しなど剰余金は1兆3283億円になった。

とあるので、ざっと18兆円ですね、これは8%の数字なので10%だと大体22兆円と言ったところです。

奨学金

日本学生支援機構の資料からですhttps://www.jasso.go.jp/about/ir/minkari/__icsFiles/afieldfile/2019/03/25/31minkari_ir_2.pdf

日本学生支援機構で残高が約9.3兆円です。

全体の額がはっきりしないのですが、少なくとも10兆円は必要だと思われます。

最低賃金1500円

1500円×8時間×240日とした場合月24万円で年収288万円です。日本人で引き上げないといけない人はどの位なのでしょうか。

年収300万円以下は日本にどのくらいいるのか。割合と生活水準とはhttps://ukano.me/1800/

こちらのホームページでは男性の2割、女性の6割、平均すると4割が300万円以下だそうです。

平成 29 年 国民生活基礎調査の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17/dl/10.pdf

確かに年収300万円以下世帯は全体の4割です、ただ、高齢者世帯の年金収入なども収入になっていることには注意が必要です。また、時給1500円カウントだと年収は288万円計算なので厳密には250万円以下が補助の対象になると思います。

全世帯で見るとこんな感じです。

年収250万円以下は全世帯の24.8%1250万世帯
高齢者世帯の年収250万円以下は48%の635万世帯
純粋には615万世帯が補助対象か
高齢者世帯は全体で1323万世帯

こうしてみると全世帯は約5000万世帯で年収250万円以下は24.8%の1250世帯位ですが、その中では年金中心の高齢者世帯が1323万世帯いて、その内48%の635万世帯位を占めます。なので日本の勤労所得者が300万円以下4割みたいな使われ方してますが、実態は年金生活や生活保護などによる収入も年収としてカウントされていることはあまり言われていません。

ざっと差し引くと600万世帯位が対象かと思われます。

ざっくり計算ですが、大体50万から250万円までは大体人数が均等に近いので平均すると100万円位補助することになると思います。となると、100万円×600万世帯で6兆円位毎年必要です。

1人当たり3万円毎月支給

これはどこまでを対象にするかは不明ですが、日本人で1000万円以上世帯が12.6%しか無いので仮に所得制限を1000万円以上にしてもほぼ9割が対象になります。

日本人1.2億人の9割程度なら1億人以上です。

これもざっくり1億人×3万円×12=36兆円が年間経費です。

保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化

公約には以下の文章です。

1万人あたりの公務員数をみると日本は、
英国の約3分の1、米国の約2分の1です。

つまり、少なくとも公務員は倍増です。

平成31年度公務員人件費 財務省主計局https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/21.pdf

これをみると25兆円位なので追加が25兆円いることになりますね。

国土強靭化支出

インフラ補修、30年で195兆円 国交省推計 2018/11/30日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38391690Q8A131C1EA4000/

  • 今後30年で必要となる道路や河川などインフラの維持管理、更新費用の推計をまとめた、更新を随時進めた場合は30年間で195兆円、年間6〜7兆円
  • 施設の劣化が進んだ段階で補修する「事後保全」で必要となる経費は事後保全の場合は予防的に補修を進めた場合と比べて90兆円ほど多い最大284兆6千億円の費用がかかるとした、年間9〜10兆円

ここも新規事業とか別にかかるのもあるので難しいですが10兆円は覚悟したほうがいいと思います。

まとめ

公約で大きな費用がかかりそうなのな項目を具体的にどの位かかりそうか考えてみました。

  • 消費税廃止〜年間22兆円
  • 奨学金チャラ〜全体10兆円位
  • 全国一律!最低賃金1500円「政府が補償」〜毎年6兆円程度
  • 一人あたり月3万円を給付〜毎年36兆円
  • 保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化〜毎年25兆円
  • 防災対策だけでなく水道、鉄道などの公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出〜毎年10兆円

と、合計するとざっくり毎年100兆円位かかります。国家予算倍増ですね。

果たして政権を取れるのか?

これは不明ですが、国家予算を倍増するので景気が悪くなるはずがありません、これを国債増発で賄うわけです。現在日銀が470兆円程度の国債を保有しているのですが、今まで以上に国債を増発させてこれを銀行経由ではなくて実際に使います。

短期的にはとてつもないバブルになると思います、ただ、その後は歯止めが効かなくなる恐れがあります。

また、日本の国際的信用にも影響するので為替も大幅な円安になると思われます。

となると円安→輸入品上昇→物価の大幅高になると考えられます。というか、この公約で政権を取った時点で為替や国債マーケットが反応するので実施ができるか不明です。

公約をみるとバラ色ですが、過激な政策は絵に描いた餅になるリスクを考えたほうがいいです。

ただ、MMTという新しい理論が受け入れられる可能性はあります、また、インフレになっても良いと思う人も一定数存在します。資産家は備えとして資産分散を進めておく必要があると思います。

政権なんて取れっこないよというのが今の世間の風潮ですが、小選挙区制は得票数が少なくても選挙区でトップをとってしまえば当選です、自民党は現状圧倒的トップに見えて実は投票した人のの3〜4割を占めるに過ぎず、少し風向きが変わると大幅に議席を減らします。万が一があるかもしれません。

何があっても自分の資産の価値をある程度維持するための外貨投資や金投資、株式投資を行っておいたほうがいいし、資産規模によっては海外金融機関に資産を保有しておいた方が良いかもしれません。