<投信トレンド>11月、2カ月連続流出超 国内株型で利益確定売り2019/12/14日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53322980T11C19A2PPE000/

- QUICK資産運用研究所によると、11月の設定額から解約額を差し引いた市場全体の資金流出額は3610億円で、2カ月連続の流出超
- 流出額は前月(1420億円)より増えた
- 国内株で運用するファンドは11月に3211億円の流出超
- アクティブファンドの資金流出が目立つ
- 個別の投信では国内株型の「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス)の流出額が大きい
- 先進国株式型は375億円、新興国株式型は588億円の流出超
- 国内不動産投資信託(REIT)型も、1年ぶりの流出超
- 海外REIT型は665億円の流入超
- バランス型は623億円の流入超
- 国内債券型は253億円の流入超
全体として株式を売却、1/3は海外REITやバランス型、国内債券に流れています、基本株式が上昇してきたから売却、一部を再投資です。
ではこのデータは11月のものですが、ここ1年くらいの傾向はどうでしょうか。遡ってみます。
<投信トレンド>9月、資金流入の勢い鈍る 国内株で利益確定売り2019/10/19日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51135750Y9A011C1PPE000/

- QUICK資産運用研究所によると、9月の設定額から解約額を差し引いた市場全体の資金流入額は525億円
- 2カ月連続の資金流入超だが流入額は8月(3482億円)からは大きく減少
- 国内外の株式や公社債など複数の資産に投資先を分散するバランス型への資金流入額が1668億円と2015年6月以来の大きさ
- 国内REIT型は10カ月連続、流入超
- 海外・先進国債券は投資適格債に限れば3年ぶりの資金流入超
- 国内株式型の資金流出額は2000億円を超え、4月(2697億円)以来の大きさ
- 個別で資金流出額が最も多かったのは、日経平均株価に連動する投資成果を目指す「日経225ノーロードオープン」(アセットマネジメントOne)
- 新興国物は資金流出が続いた。株式型は242億円の流出超、債券型は155億円の流出超
- 資金流入額上位10本のうち5本が確定拠出型年金(DC)専用の投信
- 日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」も隔月分配型を含め流入が目立った
2019年9月は日本株と新興国資産が大きく売られてバランス型ファンドに流れていました。
<投信トレンド>4月、株式型で流出目立つ 利益確定の売り多く2019/5/18日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO44934280X10C19A5PPE000/

- 市場全体の資金流出額は約6200億円
- 国内株で運用するファンドからの資金流出が2697億円
- 先進国株式型はさかのぼれる15年1月以降で最大の流出超過額
- 先端技術をテーマにした投信からの資金流出も目立った
- 10連休(4月27日~5月6日)後に相場が急変するリスクに備える面も
- 国内REIT型が流入超。流入超過額は227億円と前月(360億円)よりは少なかったものの、5カ月連続の流入超
- 世界の高配当利回りの公益株に投資する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(ピクテ投信投資顧問)が流入超
ここでも国内株式や先進国株式は流出しています。
〈投信トレンド〉11月は資金流入の勢い鈍る 海外債券型は解約続く2018/12/22日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39244310R21C18A2PPD000/

- 市場全体の資金流入額は1336億円
- 国内株式型の流入額は1466億円と10月(3076億円)から減少
- 海外・先進国株式型の流入額も1077億円
- これまでは株価の下落局面において、押し目買いの好機と捉えた個人投資家の資金が流入する傾向にあったが「11月に入ると株安基調が一時的ではないとの警戒感がくすぶり、個人投資家の買いの勢いが鈍った」(ドイチェ・アセット・マネジメントの藤原延介資産運用研究所長)
- 11月の資金流入超過額が上位の10銘柄のうち、8銘柄が国内外の株式で運用するタイプ
- 流入額がもっとも多かったのはインターネット業界の成長をテーマとした「netWINゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」
- 「長期の運用実績が示されていたり、医療系などディフェンシブ銘柄に投資するテーマ型の投信に人気が集まっている」
- 国内債券型は2カ月連続、先進国債券型は26カ月連続の資金流出超
この局面では債券型から資金流出、株式は国内、海外株式ファンドに資金が入っているようです。
これらの記事で起こっていることをまとめると下記のようになります。
2018年11月
- 日本株、海外、先進国株は資金流入
- 国内、海外債券は流出
2019年4月
- 日本株、先進国大幅に流出
- 国内REITや高配当株式には流入
2019年9月
- 国内株式流出
- 新興国債券流出
- 海外株式流入
- バランス型ファンドに流入
2019年11月
- 国内株式流出
- 先進国・新興国株式流出
- 海外REIT流入
- バランス型流入
- 国内債券流入
ではこれを米国NYダウ、日経平均、米国10年利回りと比較して見てみます。

先進国株式に資金が流入しているのは2018年11月、2019年9月ですが、2018年11月は年末に向かって下落する入り口、2019年9月は今までに至る上昇前の下落した局面でした。
一方で流出は2019年4月、2019年11月で、2019年4月は2018年11月の水準を回復した時、2019年11月はやや利食いタイミングと言えます。

日本株は2018年11月は流入、その後は2019年4、9、11月と流出が続いています。
日本株は2018年11月に買ったものの、その後のパフォーマンスが優れず、戻った所で売却を継続しています。

海外、先進国債券は2019年9月は辛うじて流入ですが、一貫して流出傾向です。2018年11月までは金利上昇局面なので損切り状態、以降は金利低下局面なので利益確定売りが断続しています。
2019年9月は日興アセットの話題ファンド「3倍3分法」が売れているので、もしかするとこのファンドがなければ流出だったかもしれません。
ただ、9月は金利水準が非常に低いので債券価格がピークに近く、今後3倍3文法の外債部分がどうなるかは注意です。
まとめ
全体を見渡すと以下の傾向が見られます。
- 株式ファンドには短期売買の傾向が見られる
- 中長期投資と言いながら実は塩漬け状態だった可能性も高く、価格回復後にやれやれ売りが出ているから解約が高水準かも
- 債券ファンドは売られている傾向が続いている
こうやってみると、投信を半ば株式の短期売買と同じに捉えている傾向が見られます、本来ならば2018年11月に購入して下落したならば追加で下落局面は購入に回り、買い付け価格を下げながら資産を膨らませた方が良いように思えます。
債券ファンドも2018年11月は今から見ると金利上昇のピークに近く、やはり継続保有か追加購入が良かったように思えます。
このやり方では高い所で購入、戻れば売りになってしまうので手数料が嵩む割には儲けが出にくいです。
金融機関担当者が付いている場合は戻れば売り、違う商品を案内をされるケースもあり得ます。また、デイトレーダー的な発想で投資を捉えると今までのような売買になってしまいます。
株式にしても、債券にしてもパフォーマンスで無視できないのが配当であったり、利息収入です。
テーマ型ファンドはそのテーマに光が当たらなくなると厳しい結果になるので個人的には余りオススメしないですが、そうではなく、幅広に分散された投資信託なら長期で付き合い、短期間の相場では上昇で売るのではなくて、下落で買い、上昇時は含資産を保有しながら大きな相場の流れを見て動く方が良いように思えます。
本来ならば金融機関が啓蒙を促すのが役割なのですが、仲介業として手数料収入に頼る現状では中々中立的アドバイスは厳しいかもしれません。