相場メモ2020年11月16日

債券・金利

米国債の金利が再び上昇気味の一週間でした。11月9日にファイザー/独バイオンテック連合が研究中のワクチンが非常に好調な治験の結果を公表し、今までのコロナで「感染拡大→巣ごもり→ネット株投資集中+金利低下」から「コロナ終了→人々の外出→航空、エネルギー、レジャー株等買い+金利上昇」への動きが見られた影響です。

しかし、新聞報道でもあったようにこのワクチンは遺伝子を人工的に合成するため短期間で大量生産可能ですが、保存をマイナス70度、消費期限10日程度な為保存と輸送の課題が残ります。また、順序は医療従事者からなので一般に出回るのは早くても来年の春になると思われます。米FRBのパウエル議長も米経済はここ数か月感染拡大で厳しい見通しを示し、欧州ECBのラガルド総裁も「熱狂的になりたくない」と述べるなど明るいニュースではあるが現実を変えるには数か月必要と慎重で、金利上昇が続くようであれば追加緩和も実施されると思われ、本格的な景気回復や金利上昇はまだ先とみた方が良さそうです。

1年先にはとても良いニュースであり、経済活動の正常化と金利上昇のきっかけになった話題になりそうですが、やや気が早く、大きな揺り戻しにも注意した方が良さそうです。

この金利の動きの中でも我々が投資の中心に据えている米銀優先株式預託証券、欧州銀行CoCos、ハイイールド債は堅調です。これらは利回りが比較的他より高く金余りで利回りを求める資金に好まれます。

景気回復時はこれらを発行する企業の信用力がUPし債券価格UPに繋がる側面もあるため引き続き投資の中心に据えて良いと考えております。

為替

新興国関連でトルコとメキシコに目立つ動きがありました。

まず、トルコリラは週間で12円→13.5円と約12%上昇です、11 月 6 日にトルコ中銀のウイサル総裁の退任、エルドアン大統領の娘婿であるアルバイラク財務相が 11 月 8 日に辞任、後任にエルバン元副首相が任命されました。最近のトルコリラの下落の責任や利上げを容認しようとしないエルドアン大統領との不仲も原因ではと言われています。これを受けて通貨防衛のための利上げを大統領が容認するのではとの期待が高まりリラ売りが一旦止まっています。根本解決には遠く、利上げが今後なければ再び下落する可能性もあるので油断はできない状況に変わりはありません。

メキシコペソでは11月12日に中央銀行の政策決定会合を開催し、政策金利を4.25%で据え置きとし、2019年8月に8.25%から始めた連続利下げを止めました。

インフレ率が4.1%で4.25%は実質ゼロ金利状態です、メキシコの目標インフレ率は3%なのでこれ以上の利下げはインフレを加速させるリスクがあると見て止めた模様です。

これを受けてメキシコペソは堅調に推移しています。

メキシコは米国の政権がバイデン大統領で確定すると恩恵を受けると見られています。今までの国境に壁を作ると言うトランプ政権との悪化した関係が緩和する可能性が有るからです。また、近くの大国ブラジルは既に政策金利が2%とメキシコの方が投資家にとって魅力的です。とは言え、今後インフレ加速が見られるようだと実質マイナス金利になるので新規投資を行う場合は債券よりETFや投資信託を通じた株式の方が良いと考えられます。

株式

新型コロナ、政治ネタが相場をかく乱し続けています。新型コロナ関連は週初のファイザー/バイオンテックのワクチンです。将来に対しての明るいニュースですが、まだ完成でもなく、一般に普及もしていません、冬に向けて欧米の感染拡大の加速、ロックダウンが拡大する事もリスクとして残ります。

ただ、半年後を見据えるのであれば成長株投資と別に自動車、運輸、レジャーや小売等の株式を一部下落局面で組み込む事は考えても良いと考えられます。米S&P500のIVVも候補になります。

今後もアストラゼネカ等他社のワクチンのニュースも出てくるのでその度に相場の動きが激しくなりそうです。

政治面ですが、米国大統領選挙の騒動が継続しており、短期トレードで使用されるネタになる可能性が有ります。

ただ、これより大きいのが米国の上院議会の1月5日のジョージア州の決選投票です、現在まで定員100人の上院の内確定が48人民主、50人共和でジョージア州で2議席です。上院議長は副大統領なので仮にジョージア州で2議席民主党が取れば50対50で副大統領が民主党なので(バイデン大統領確定ならば)事実上民主党がコントロールでき、大統領、上院、下院が全て民主党となり、公共事業拡大や金融機関に対する規制強化、富裕層や証券投資に対する増税、インターネット大手企業に対する規制強化等を進める可能性が出てきます。

現在は大統領と下院は民主党ですが、上院は共和党なのでお互いけん制しあってバランスを取りながら政策を進めると期待されていますが1月に民主党が勝利すると政策の流れが変わります。

ただし、民主党が勝利すると株式市場が下落基調に変化し、株式が買えないということではありません、あくまで短期のかく乱要因です。

先週も書きましたが、相場の趨勢は日米ともに金融緩和効果で上昇基調です、これは数年続く可能性が有ります。その中で株式やETFを購入するチャンスを与えてくれそうなニュースが米上院議会選挙ということになると考えております。

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