週間相場メモ2020年11月24日

2020/11/24号

債券・金利

米国10年債利回りが、0.8%台前半と2週間前の水準に低下し、他の年限の債券利回りも低下した1週間でした。11月9日にファイザーが新型コロナのワクチンの好調な研究結果を公表して以降、人々の活動の回復を見越して米国10年国債利回りは11月11日に0.977%まで上昇しました。

しかし、その後欧米中心に感染者数拡大のニュースが相次ぎ不安感から再び下落しました。11月19日にはカリフォルニア州で夜間外出禁止令が発令されています。

現在は将来に対する期待と目先に対する不安が交錯している状況で、暫く上下動の激しい状態が続きそうです。

今後に影響を及ぼしそうなイベントとしては12月4日の米国失業率発表、12月8日から開かれる米国FDAのコロナワクチンに対する諮問委員会の動向が考えられます。

12月4日の米国失業率は現在6.9%で大幅に改善すれば再び金利の上昇材料になります。

12月8日からのFDA諮問委員会では、ワクチン承認となれば、早ければ年末にもワクチンの配布が始まり、金利上昇要因になります。

これら明るい材料の一方で、新型コロナ感染者の拡大が続き、ロックダウン等が再び広がれば経済の回復が遅れることが懸念され、金利低下が起こると思われます。

来年の春以降はワクチン配布の広がりや金融・財政支援の継続、人々の活動の活発化で景気回復と金利上昇は大きな流れになる可能性が高い一方で、目先は感染者数の拡大によって「今」を恐れる金利低下が起こりそうです。

ただし、緩和マネーによる利回り狩りは引き続き旺盛であり、米銀優先株式預託証券、欧州銀行CoCos、ハイイールド債は引き続き投資の中心商品に変わりは無く、好条件の債券が出た場合や、価格が下落した局面では追加購入のスタンスで良いと考えております。

為替

米ドルは再び103円台と2週間前の水準になっています。新型コロナウイルスの米国での拡大を受けて再びリスクオフの資金が円買いを起こした流れだと考えられます。

今後も景気回復が見えると円安、不安感の再来は円高という流れは続くと見ています。

イベントとしては先週触れたトルコですが、19日に市場予想通り政策金利を5%引き上げの15%としました。

エルドアン大統領も20日に財界関係者に「インフレ抑制のために苦い薬を飲む必要がある」と発言し、利上げを容認しています。高インフレ、米ロの板挟み、外貨準備不足、貿易赤字と逆風はとても大きいですが、利上げを否定してきた大統領の態度の転換はプラスの材料と言えます。

株式

11月16日にNYダウ29950ドルと過去最高値更新、同日S&P500も3626ポイントと過去最高値更新、日経平均も11月17日に終値26014円と29年ぶり高値を記録し、週後半は調整気味に推移しました。

年末が近づいているので来年に向けての予想が出始めています、米モルガン・スタンレー証券は2021年の米S&P500は3900目標、米10年債利回りは1.45%迄上昇の予想を出してきました。

新型コロナの感染拡大や新政権の緊縮財政への転換がリスク要因としていますが、ワクチン開発の進展と金融・財政対応が支えとなり、2021年は回復の年になると予想しています。

そこでどの分野の株式が買われる可能性があるかですが、11月9日のファイザーの発表直後の動きがヒントになると考えています。デルタ航空等の空運、ラスベガスサンズ、ディズニー等のレジャー、エクソンモービル等の石油株、コーチ等の小売株等が上昇し、アマゾンやフェイスブックに代表されるGAFAMや周辺のDX成長株が売られました。

コロナ感染拡大は現在進行形で、やや気が早いと思いますが、来年正常化に向かうに従い、見直される可能性があります。一方で売られた側のGAFAMですが、こちらは広告収入の回復やインターネットの広がりは続くので全てがダメになるとも考えておりません、今まで程の急激な上昇は見込めなくなるという解釈です。二極化の是正、すそ野の広がりが期待されます。

仮に足下のコロナ感染拡大懸念で株式市場が下落した局面だとS&P500のETF、IVVを購入するのも良いと考えております。

その他

1週間の上昇率が最も大きいのがビットコインでした、金融緩和を背景に上昇してきています。

ビットコインの税制は総合課税なので注意してください。

最後に米国大統領選挙を巡る動きですが、選挙結果が覆る可能性は低いと市場では見ております。

それでもトランプ大統領がしつこく戦う理由は大きく2つ言われています。

1つは1月5日の上院共和党のジョージア州の決選投票です、ここで2議席を両方落とすと上下院が民主党主導になってしまいます、阻止のためには共和党支持者を選挙まで盛り上げる必要があり、そのためのキャンペーンの可能性です。ここで上院共和党が勝てばトランプ大統領は共和党に大きな恩を売れ、影響力を残せます。

もう1つは11月12日にトランプ大統領がテレビ局を作るというニュースが流れました。

トランプ大統領は本業がホテルやゴルフ場といったレジャー関連なのでかなり経営は厳しく、新しい稼ぎネタを探しており、そのためのテレビ進出と言われています。まだ、テレビなのか、YouTubeの様な形式なのか不明ですが、大統領選挙ネタとTwitter8900万人のフォロワーとなるとかなり大きな収益になりそうなので、これを見越した話題提供の可能性です。どれも憶測の域を超えませんが、相変わらず話題を提供してくれる大統領です。