債券・金利
11月11日に0.977%まで上昇した米国10年国債利回りですが、以降落ち着いた動きとなり、この1週間もほぼ横ばいの動きとなりました。ワクチン開発のニュースが増えており、将来に対する期待は膨らんでいるものの、ワクチンにより、感染予防が実際に達成されるのかに人々が強い確信が持てない事や25日に公表された米FRBの議事録要旨において量的緩和の強化を示唆したこと等が原因とみられます。
一方で2021年末の見通しとなると、経済正常化を期待し、米国10年債利回りは上昇を見込む予想が多く見られます。
先週号では米国MSが来年末に1.45%予想と書きましたが、バンク・オブ・アメリカは来年末1.5%予想を出してきています。
一方で欧州銀CoCos、米銀優先株式預託証券、ハイイールド社債等は元々比較的高金利であることや景気回復の恩恵が信用力の増加に繋がるため金利上昇が必ずしもマイナスにのみ働くわけではありません。
為替
米ドルは103円台から104円台を中心に動く展開が続いております。
世界で最も大規模な金融緩和を継続している米国のドルが今後下落するのではとの懸念より、
やや円高気味の動きを続けております。
しかし、投資商品の厚みが世界で最も大きな国で世界中の投資資金が集まる事、
円高になると日本人によるドル資産の購入が活発になる事が見込めるため、
極端な円高にも振れ難い状況です。
株式
米NYダウは11月25日に30,058.90ドルと過去最高値、日経平均も29年ぶりの価格をさらに更新いたしました。金融緩和と財政出動による下支え、ワクチン完成への期待が支えております。
一方で欧米のコロナ患者は日々増えており、強力なロックダウンが米国政府により実施される事態になると株価や景気にはマイナスです。短期的には感染者数の動向、ワクチンの開発、配布状況が株価にも影響を及ぼすと考えております。
次に日本株の決算ですが、東証一部全体の値動きを表すTOPIX指数は17業種に分かれており、この中で2022年期に営業利益の回復幅が大きく予想されているのは2021年期に大幅に利益が減っていた「自動車・同部品」「機械」「電気・精密」の業種です。
この業種は「EV(電気自動車)」「人出不足、省力化投資」、「5G」といった長期テーマもあり、長期間な成長の恩恵も受けられます。
一例ですが、EVでは日本電産、省力化投資(ロボット)ではファナック、5Gではソニー等が考えられます。
最後に、先週税制は総合課税であると書いたビットコインですが、恩恵を受ける可能性の高い企業の株を代わりに購入する方法もあります。
代表格は米国ペイパル(PYPL)です。電子決済のシステムを提供している会社ですが、10月21日にビットコインの売買、保有が可能なサービスを米国で開始すると発表しております。将来暗号通貨の価格が高くなり、取引の金額が大きくなると取次における手数料収入も増える事を意味します。
もちろん、ビットコイン自体は資産の裏付けが全くない為今後どのような発展をたどるかはまだ未知数であることには注意してください。