2021年1月18日 週間相場メモ

債券・金利

米国10年債利回りは大台の1%を超えてからはやや上昇ペースが鈍っており、1月8日1.119%が1月15日に1.087%と下落しました。1月5日の上院選挙で民主党が勝利し、今後大型の景気対策を実施する見通しで国債の増発懸念から金利上昇が続いていましたが、13日に米FRBのクラリダ副議長、14日にパウエル議長が緩和方針を強調し、当局が金利上昇を歓迎していない強いメッセージを送り金利上昇をけん制しました。

特にパウエル議長は「今は出口について話す時ではない」と足下の景気回復及び雇用回復を優先し、出口戦略について議論も行わないと強いメッセージでした。

年末に共和党と合意した9000億米ドル規模の景気対策に加えて、14日はバイデン次期大統領が失業者1人当たり1か月1400米ドル支給を含む1.9兆米ドルの景気対策を実施すると発表、更に2月にも今回と別で景気対策を実施する予定もあり、国債を大増発して景気対策を実施する計画が続き、今後も景気対策の話や国債増大懸念、インフレ懸念などで金利上昇の話が出てはFRBが抑え込みにかかる構図が今後も続くと思われ、一本調子で金利が上昇する事はないと見ています。

この様な環境下でも我々で投資商品に加える有力候補と以前からお伝えしているハイイールド債券は米国金利の上昇でも下落することなく上昇基調です。

ハイイールド債券は格付けが低い為、高い利息を支払います、よって投資元金を回収できるまでの期間が格付けが高く利息収入が少ない債券より短く、金利上昇のマイナスの影響が格付けが高い債券より少ない傾向があります。

指数でみると、現在、投資適格社債(BBB以上)指数は投資回収期間が約8年程度が平均ですが、ハイイールド社債指数は約4年です、債券は回収期間が長いほど価格が大きく動き、短いと動きは小さいです、よって金利の上下動の影響がハイイールド社債の方が小さくなります。

また、景気悪化時は倒産リスクなどからハイイールド債券を敬遠し、価格が大きく下落しますが、景気回復期に入ると将来の格付け上昇期待もあり、金利収入も多いことから高い金利収入を求める資金に買われて上昇することが多いです。

今回も過去の景気悪化、回復期と同様の展開となっており、引き続き継続保有、購入を検討されても良い分野だと思われます。

為替

殆ど為替にとっては動きの無かった1週間でした、米ドルは週初と週末でほぼ同じ、ややイギリスポンドなど米国以外の通貨に資金が流れている印象はありますが、日本円から見た動きは小さく、売買を行う上での追加のニュースを待っているような状態です。

株式

2021年1月下旬から日米ともに決算発表が相次ぎます。28,000円程度まで回復してきた株式市場が今後も株式が上昇できるかテストのような期間に入ります。

仮に期待外れの結果に終わると大きな調整もあり得ますが、現在世界的に自動車・半導体・素材分野が好調で、テーマとして電気自動車の普及、5Gスマホ普及元年、コロナ禍での人手削減からの工場自動化という大きなテーマがある為調整があってもテーマと業績の裏付けのある株式はきちんと回復して上昇すると見ています。むしろ、下落局面は強気で臨んで良いと思います。

この中で特に必要になると言われているのが半導体です、日本は完成品は弱いですが、部品や部品製造装置のメーカーなどがとても強く、東京エレクトロンや信越化学、イビデン、村田製作所、アドバンテスト、レーザーテック、等の企業が上昇しております。

海外でもアプライドマテリアルズ(AMAT)、アドバンストマイクロデバイセズ(AMD)、エヌビディア(NVDA)などの企業が好調です。

半導体を大量消費するのが自動車です、もはや自動車は半導体の塊で昔よりも大幅に使う数が増えています。

更に電気自動車は2020年で世界販売9000万台中200万台に過ぎませんが、2030年2000万台、2040年5500万台といわれており、こちらも半導体の塊です。

ここに今年は5Gスマホ普及が世界的に本格化すると言われております。こちらも昔より使う量が増えています。

また、コロナ禍から各社向上の自動化を進めており、ロボット製造でも半導体が使用されます。

各業界が半導体を取りあう形になっており、半導体不足で自動車業界で生産調整までおこっております。

半導体業界は過去、需要が大幅に盛り上がると設備投資を巨大に行い、やがて供給過剰になって株価も大きく下落するサイクルを繰り返してきた業界です。

今回もいずれ同じことになると思いますが、今はまだ各分野の需要は盛り上がり初期とみられるのでここ数か月の調整は買いで臨んで良いと考えております。

その他

電気自動車について今後大幅に伸びる予想が出ていることを記述しましたが、電気自動車が果たして環境に良いのかという課題と使用される素材について少し書いておきます。

目立つのは銅です、自動車で一般的な乗用車で銅は20㎏程度使用されるそうですが、ハイブリッド車で40㎏、プラグインハイブリッドでは60㎏、電気自動車は80㎏程度使用されるそうです。これは駆動用モーター内の巻線や配線がとても現在のガソリン自動車より多いからだそうです。

また、リチウムイオン電池にはニッケルの使用が多く使われるそうです。

つまり、一見ガソリン自動車が目の前で排ガスを出し、電気自動車は出さないからCo2面や環境にエコと言われていますが、今までの4倍の銅を採掘して精錬しないといけないし、大量の電気を生産しないといけなくなります。

新規の鉱山開発も必要になります。

となると、結局はトータルで見るとCo2も減らないし、エコでも無かったとどこかで議論が出てきそうに思えます。

電気自動車は世界的な潮流なのである程度普及すると思われます、なので株式市場的にも今は乗るべきです。

ただ、株式市場を離れて、全く違う視点で見ると、これはエコなのかと言われると今までと違う環境破壊が発生しそうで、リサイクルの業界が恩恵を受けたり、新しい規制が入る事も将来はあり得そうです。