投信運用会社ランキングと投資信託の見分け方

投信会社 「運用力」で選ぶ:2019年7月20日 日本経済聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47522250Z10C19A7PPE000/

  1. 投信運用会社の成績を表す指標としてシャープレシオで測ってみた
  2. 独立系と大手金融機関系で差がつき、独立系が上回った、ファンドの数が影響していると見られる。過去のテーマ型ファンドの残骸も多い
  3. 5年間の成績をインデックス型と比較すると国内株式型で31/45社、先進国株式では42/49社、バランス型では33/38社がインデックス型を下回る結果
  4. 注意点としてはあくまで各社、各分野の平均なので個別のファンドは改めて精査しないといけない

感想

投資信託のランキングや金融機関の運用成績表もありますが、今回は投信運用会社の成績表です。

まず、シャープレシオとは投資信託の運用成績を測るための指標のひとつで、{(ポートフォリオの平均リターン)-(無リスク利子率)}/(ポートフォリオの標準偏差) で表されます

ここでいう無リスク利子率とは国債とか預金とかのリスクを取らない資産に預けていた場合の収益率を指します。

具体例でいうと、利回りが12%の投資信託Aと14%のBがあったときに、ポートフォリオリスクがそれぞれ5%と10%、無リスク資産の利回りが2%だったとします。
投資信託Aのシャープ・レシオ=(12-2)÷5=2.0
同Bのシャープ・レシオ=(14-2)÷10=1.2
となることから、Aの方が効率的な運用ができていると考えられます。

つまり、何もしていないなら2%は利益が得られる、それをリスクをとって運用する、その運用成績のバラツキをリスクと言いますが、リスク1単位ごとにどれだけのリターンが過去に出てたかを示します。この数値が高いほど効率的な運用ができているとされています。

この指標が良い所は単純なリターンが良いだけでは数値が上がらない所です。通常リスクを取ればリターンが上がりやすくはなります、ただ、その場合は結果のバラツキ、つまりリスクも大きくなります。株式ファンドでも小型株と大型株に投資をする違いでも小型株の方が得られるリターンが大きいことも多いのですが、下落幅も大きい事が多いので、リターンだけで比較すると単にデータを取った時期に1番上がったものに投資をしていただけの結果が出る事が多く、パフォーマンスが安定しません。

上記の例だと14%のリターンと12%のリターンがあるわけですが、無リスク資産なら2%得られるので引いて、あとは成績のバラツキを示す標準偏差で割ると1つのリスク当たりのリターンが出て来ます。すると、シャープレシオが高いのは12%のファンドで、決して儲かった額が大きい方がこの数値が高いわけではありません。

よくある運用成績ランキングでの注意

今回の様に各社の特徴を踏まえてランキングを出している場合は良いのですが、最近のこの手のランキングにはやや危うさを感じてもいます。

と、いうのが、成績ランキングでは、投信運用会社の商品ラインナップの方が成績に与える影響が大きく、単に成績が良い会社といってもたまたまリスクを大きく取るファンドが中心販売商品で相場の流れが来ただけの時もあります。そうなると、過去5年良かった所だと思って投資したら相場の流れが変わって次はランキング下位になってしまったりします。

これは販売会社の成績ランキングでも同様で、単に成績が今いいからだけで判断は危険です。たまたま保守的な運用を勧めて来たら株式市場が上昇してしまって気がついたら成績下位に沈んでいる場合もあります。

シャープレシオも限界があって、各社のファンドのリスクはそれぞれ違うので、レシオが高い所が自分の性格に会うファンドの品揃えと違う場合があります。

やはり個別で選ぶしかないのですが、投資信託の数は日本だけでも6000種以上あり、上場株より数が多いので見てられません。そこで、簡単な見分け方をお伝えしておきます。

  1. 投資信託の設定から3年以上経っているか
  2. ベンチマークはあるか、成績は上回る傾向か
  3. 運用者の顔や考えが見えるか、共感できるか
  4. テーマ型ファンドか否か

です

1、3年以上経っているかどうかは過去の運用成績が実績として出た数字がせめて3年は欲しいからです。新規設定ファンドは見送るのが無難です。本当に実績が上がるか不明だからです。ただ、既に運用されているファンドに連動する形で出す物もあり、これは過去から運用されている親ファンドがあるので良しとします。

2、ベンチマークとは運用する対象商品の平均値です。例えば日本株ならTOPIXとか米国株ならS&P500とかです。新聞にもありましたが、意外と平均を下回る投資信託が多く、それに投資するならベンチマークの大本の指標に連動するインデックスファンドやETFに投資をした方が信託報酬等のコストも安いです。

日本株に投資する投資信託の成績が5割上昇していても、日本株のTOPIXが7割上昇していたなら平均値に負けている訳で、高い信託報酬を払う必要が無いことになります。

3、運用者の顔が見え、信念が説明されているかどうかは最も重視して良い所です。投資信託の運用者は純粋にはサラリーマンなので、社内的には無難な運用をして、次の異動で出世すれば良いのですが、それではファンドはあまり成績が良くないことになりがちです。それよりも株マニアのような人が運用するファンドや、会社として投資哲学を持ち、顧客にも堂々と説明できる会社、ファンドはだと信頼できます。長期保有に適しています。もちろん、ベンチマークを全く上回ってないのはダメですが。

4、最後にテーマ型かどうかですが、私は避けています。テーマ型と言ってもテーマに沿っていない会社が入っていたり、テーマの旬の時期が終わったら何年も見向きもされない分野になって、ファンドも成績が上がらない可能性が高く、旬がいつで終わりがいつかは誰にもわからないので最初からやめた方が無難です。

今回信託報酬は見分ける要件に入れてません。これは今回はインデックスファンドではなく、アクティブファンドがテーマだからです。

アクティブファンドはあくまでベンチマークを上回るためにファンドマネジャーを付けるファンドなので信託報酬は自然と高くなります。なので、ベンチマークを上回ってないなら信託報酬が高くても安くても除外商品になります。

とは言っても常に上回り続けるのは厳しいので、傾向として上回っていて、ファンドマネジャーや運用会社の哲学に共感できるならある程度は許容していいと思います。

上記の4つのポイントを活用してみて下さい、もし、不合格なら違う合格のファンドに切り替えるか、ないならインデックスファンドやETFが良いと思われます。