2021年12月13日相場メモ

12月13日 相場コメント

12月5日~11日の主な出来事

12月6日

習近平総書記(国家主席)が主宰した中央政治局会議で、住宅価格の高騰を抑制するために行ってきた不動産規制を緩和する方針を示しました

同日、中国人民銀行(中央銀行)は市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率を引き下げると発表しました。

市中銀行が預金の一部を中央銀行に預ける比率が預金準備率です、準備率を引き下げると市中銀行が人民銀行に預けるお金が減り、貸し出しなどに回すお金が増えます。

引き下げは7月に続いて今年2度目で、12月15日から0.5%引き下げられます。

人民銀行の預金準備率は加重平均で8.9%から8.4%に下がり、約1.2兆人民元(約21兆円)規模の資金が市場に供給される想定です。

もちろん、このニュースは不動産や中国経済にプラスで株価も戻り調子です、しかし中国政府による住宅価格の高騰抑制は続くとの見方等は根強く、効果は限定的とみられております。

12月7日 

豪州RBA理事会 政策金利は0.1%で据え置きとなりました。

要旨は

① 政策金利(キャッシュレート)を0.10%で据え置き。

②週40億豪ドルの政府証券買い入れを少なくとも2022年2月中旬まで継続。

③オミクロン株の出現は、景気回復を妨げるものではなく、豪州経済は2022年前半にはデルタ株感染拡大前の回復軌道に戻る見通し。

④労働市場は力強く回復している。

⑤インフレ率は2023年にかけて2.5%に達する予想。

⑥2022年2月のRBA理事会において、量的緩和策の債券購入プログラムの見直しを検討する。

オーストラリア経済は好調で、利上げが2023年にも予想されており、米国同様利上げ期待が為替相場を下支えすると見ております。

12月8日 インド準備銀行(中央銀行)金融政策決定会合

要旨は、①政策金利を年4%で据え置き、据え置きは9会合連続。金融緩和姿勢は「緩和的」を維持。

②銀行の余資運用に使われる、政策借り入れ(リバースレポ)金利を3.35%で据え置き。

③消費者物価指数(CPI)上昇率、10月の速報値は4.48%、中期目標は「2~6%」。

④2021年度(21年4月~22年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは9.5%

インド政府が11月末に発表した7~9月期のGDPは前年同期比8.4%増で、4四半期連続のプラス

⑤新型コロナの1日あたりの新規感染者数は5月に一時41万人を超えたものの、足元では1万人前後

景気回復は続いており、インフレ率も5月、6月は6%を超えましたが、今は落ち着いております。

引き続き景気を下支えする目的での緩和策継続です。

12月8日 カナダ金融政策決定会合

要旨は、①政策金利である翌日物貸出金利を0.25%で据え置き

②労働市場の回復の力強さに言及し、根強いインフレに対する懸念を表明

③インフレの表現から「一時的」という表現を外す。

12月8日ブラジル金融政策決定会合

要旨は

  • 7.75%から1.50%ポイントの利上げが決定
  • 来年2月の次回会合でも同幅の利上げを決定することが示唆されました。
  • 10月の拡大消費者物価上昇率は前年同月比+10.67%、政策目標は(3.75%±1.5%)

④21年、22年のインフレ率を前回はそれぞれ9.5%、4.1%を想定していましたが、

今回のインフレ率の見通しは21年が10.2%、22年が4.7%と上方修正

インフレの原因は干ばつによる食品価格の上昇やエネルギー価格の高騰、通貨下落による輸入物価の上昇等が挙げられます。

加えて、ボルソナロ大統領が財政支出拡大につながる新たな「社会プログラム」の実現を可能とするために憲法改正案の審議を進めていることも、財政悪化懸念より通貨レアルの下落要因となり、結果的にインフレ圧力につながっています。

来年に向けては政策金利が高止まりする中でインフレ率の低下が起こり、政策金利とインフレ率の逆転が起こればレアルの下支えになります。

一方、ブラジルのリスクは、政治的不透明感や財政規律維持への懐疑的見方が強まっていることです。

来年は大統領選挙です、ボルソナロ大統領はルラ元大統領よりも支持率が低く、まだルラ元大統領は選挙への出馬表明はしておりませんが、仮にした場合に再び左派政権誕生のリスクも燻っております。新興国の代表格ブラジルはまだまだ前途多難と言えます。

12月9日~10日 (オンライン)民主主義サミット

岸田総理大臣を含むおよそ110の国や地域の首脳などがオンラインで参加する一方、バイデン政権が専制主義国家と位置づける中国やロシアは招待されず、米国を中心とした秩序の再構築とも言えます。

米国、11月消費者物価指数(CPI)

①11月の総合CPIは前年同月比6.8%上昇、予想と一致、前年同月比で1982年以来の大きな伸び

②10月の前年同月比は6.2%上昇

③前月比では0.8%上昇、予想は0.7%、10月は0.9%

④食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比4.9%上昇、30年ぶりの高い伸び、10月は4.6%上昇

⑤コアCPIの前月比は0.5%上昇、予想と一致、10月は0.6%上昇

前月比ベースでガソリンや住居費、食品、自動車などの上昇が目立ちます。

CPI全体の約3分の1を占める住居費は前月比0.5%上昇。前年同月比では3.8%上昇で、2007年以来の大きな伸びです。

家賃や住宅価格の高騰が指数に反映されるのに伴い、住宅関連コストは来年に一段と上昇するとみられています。

消費者にとって痛いのが自宅で消費する食品が前年同月比6.4%上昇、ガソリンは前月比で6.1%上昇、家賃と帰属家賃はともに前月比0.4%上昇と普段の生活に関わる項目で大きく伸びていることです。

FRBは金融緩和縮小を早め、利上げという道具を早く手に入れたい為に動いております。

あと、インフレ率ですが、昨年比較で見ていくので、少なくとも3月末迄は高止まりすると思われます。

高いインフレ率が発表になりながらも10日の米国株が上昇したのは予想通りだったことと、市場が高いインフレ率に慣れてきたとも言え、懸念材料ではありますが、怖がる必要も無いのかなと考えております。

要旨まとめ

債券・金利 

米10年国債利回りは、前週は過度なインフレ→FRBの性急な利上げ→将来の景気に対する不安を先取りして低下し、週初は1.3%台でスタートでした。

しかし、中国人民銀行が預金準備率を引き下げる金融緩和策を決定し安心感が広がり、株式市場の回復する中で再び上昇、1.482%で終了しております。

今後2年間に予想される政策金利の平均値を表す米2年国債利回りは将来の利上げを織り込み上昇、10日に0.7%台になりました、ただ、米CPI発表後に材料出尽くしで

売られ、0.6544%で週末の取引を終えております。

政策金利が来年2回か3回引き上げられ、利上げ基調になれば、10年国債利回りも2%を目指して動くと見られ、金利の上昇基調に変化は無いと思っております。

今週は14日、15日に米国FOMCが開かれ、政策に注目が集まります。

為替

11月25日から12月3日まで2週間程度リスクオフの円高基調でしたが、12月6日の中国人民銀行の緩和策と指導部の不動産政策の一部引き締め緩和のニュースがきっかけで円安傾向になりました。

12月8日にはファイザー社がオミクロン株に対して、ワクチンの3回接種が非常に有効と発表し、リスクオンに拍車がかかり、7日に発表となった中国恒大の部分的デフォルトのニュースを打ち消しました。

今後も米金利上昇に伴い円安傾向とみております。

株式

オミクロン株について、ファイザーが3回目のワクチン接種が有効であること等を発表したこともあり、懸念が後退し、このニュースは相場を動かすニュースとしての賞味期限は切れたと言えます。

S&P500は週間で3.8%、NYダウ4%、NASDAQは3.6%上昇です。

TOPIXは0.9%、日経平均は1.5%と米国に比べて日本株の出遅れ感が目立ちます。

過去日本株の良い時期は日米の首脳の関係が良い事がセットだったと記憶しております。

中曽根、小泉、安倍、歴代の首相はレーガン、ブッシュ、トランプと親密で米国の投資家も日本にやってきて株価を支えました、しかし、岸田首相はまだバイデン大統領と首脳会談を開けておりません。

トランプ大統領が当選した時にゴルフクラブを持って世界で最初にお祝いを届けに行った安倍首相の外交センスはさすがと言えます、岸田首相も早く米国との関係改善に動いてもらいたいものです。

また、国内においては何でも足して2で割る様な政策を行うので政策の主旨がぼやけてしまう事が株式市場にも影響を与えているように感じられます。

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