では、具体的な投信選びの上でのポイントを見ていきましょう、投資信託は6000本以上ありますが、積立投資で資産形成を行うならばそれ程多く悩む必要はありません、まず、各分野の選び方を解説します、で、最後に各商品をどう配分するかを考えて見たいと思います。
あくまで私見なのでアドバイザーによっては違うというかもしれませんが、1金融担当者のアドバイスと思って読んでみてください。
全体のポイントとなるのは以下の通りです
- 商品分類〜どこに投資するか
- 残高〜どの位支持されているか、早期償還?
- 運用期間は何年?
- 運用方針〜パッシブ?アクティブ?ベンチマーク?
- 手数料は?
です、ほとんどはスクリーニングで絞れます、あとは個別に見ていきましょう。
ここではネット証券大手のSBI証券のホームページを活用してみます。
積立NISAを選び、取扱商品は?を選びます。
すると画面が切り替わり、一覧が出てきます。スクリーニングのためにパワーサーチを利用します。
全体の取扱本数は152本あるようです、これを1つ1つ見るのは大変なので以下の条件を導入します。
- 今回は世界株式ファンドから選ぶ作業なので国際株式を
- 1番分野が広い投資対象のグローバルを
- 純資産は100億円以上を
- 償還期限が無い投信を
左側のバーからチェックして指定します。するとグローバル型は28本あるのですが、8本に絞られます。
そして出てきたリストで純資産順に並べ替えを行います。
チェックその一 運用資産残高
なぜ最初に残高なのでしょうか?
運用方針がしっかりしていれば残高なんて関係無い!と思えそうですが、実はとっても大事です。
投資信託には償還条項があり、目論見書には書かれています、せっかく積立をしているのに途中で運用を投資信託がやめてしまい、その時の時価で返金される事態になれば運用が途中で終わってしまいます。
目論見書には以下の様にあります。これは1番残高の多いニッセイ外国株式インデックスファンドの目論見書です。
その他の項目に「繰上償還」の項目があり、「30億口を下回っている場合には、委託会社はあらかじめ受益者に書面で通知する等の手続きを経て、ファンドを繰り上げ償還させることがあります。」と書いてあります。
ニッセイ外国株式インデックスファンドは残高が1348億円なので関係無いですが、基準価格が16081円なので約48億円を下回り出すと可能性が出てきます。
一方で残高の少ないファンドも見てみます。
三井住友TAM-i-SMT グローバル株式インデックスが現在1.24億円と1番少ないです、この目論見書です。
ここでも30億口が基準と書いてあるので約32億円レベルの残高が無いと繰上償還の可能性があります。
償還の判断は運用会社の委託会社に委ねられており、簡単には無くしませんが、それでも自分のファンドが時価償還しそうかそうで無いかは心配のタネになってしまうのでできれば残高は満たしておいて欲しいです。これを目論見書で全てチェックするのは大変なので一律100億円位はあると安心と判断して100億円で切っています。
チェックその二 運用期間は何年?
これも先程の運用途中での償還が無い事を確認する1つの作業ですが、ここで積立NISAに採用されている銘柄は無期限ばかりなので心配はないです。
チェックその三 運用方針〜パッシブ?アクティブ?ベンチマークとは?
次にこれらの商品の特徴をチェックします、運用方針ボタンに切り替えます。
パッシブ運用とアクティブ運用
この一覧では全て「〇〇に連動」か「概ね捉える」とあるので目標とする指標(ベンチマーク)があって、それと同じように動く成果を目指す投資信託です、このような運用スタイルはパッシブ運用と呼ばれる手法です。
これに対して目標とする株式指標を上回る成果を求めて運用するのがアクティブ運用と言います。
大きな違いは
まず1つ目の項目ですが、
- パッシブ運用は投資信託などが運用の指標としている基準に連動する
- アクティブ運用は投資信託などが運用の指標としている基準を上回る事を目標とする
です、常にテストで平均点、どんな事があっても真ん中の成績がパッシブ(消極)です、無難な成果はいつも出せますが、劇的な成果は期待できません。反対に平均点以上を常に取ろうとして色々やってみるのがアクティブ(積極)です、うまくいくかもしれませんし、落第点を取ることもあり得ます、アクティブファンドにはファンドマネジャーがいてその人やチームの独自の相場観で売買を行います。ファンドがマネジャーにパフォーマンスをより委ねます。
ここではパッシブファンドしかありませんので、アクティブファンドについては出てきた時に再度お話しします。
ベンチマークとは?
日興証券用語集によるとhttps://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/he/J0134.html
投資信託などが運用の指標としている基準です、
この一覧では3つのベンチマークが書かれています。
- MSCI コクサイ インデックス
- FTSE グローバル オールキャップ インデックス
- MSCI オール カントリー ワールド インデックス
です、これらの投資先の違いを見て見ます。
MSCI コクサイ インデックスとは?
楽天証券のホームページで詳しく解説がありましたhttps://www.rakuten-sec.co.jp/web/special/indices/06.html
2016年のデータなのでちょっと前ですが、先進国の中で日本を除外した指数です、アメリカが圧倒的ですね。これをベンチマークにしている投資信託はほぼ皆同じ構成になっていると判断していいです。
直近の例として同種のファンドで1番残高の多いニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの月報を見てみます。
アメリカの比率がさらに上昇していますね、銘柄数は1317銘柄ある事がわかります。
FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスとは?
(FTSE Global All Cap Index)とは、FTSE社が算出/公表しているFTSE Global Equity Index Series(GEIS)の1つで、 日本含む先進国と新興国を合わせた、計47ヵ国の各国株式市場全体の値動きを表す全世界株式指数(米ドル建て、配当抜き)です。
詳細に解説してあったのがノーロード投資信託徹底ガイドでした。http://noload.558110.info/ftse-global-allcap-index.html
先程のMSCI国際インデックスとの大きな違いは日本が入っている事と世界殆どが入っている事です。銘柄数も8000銘柄近くで、世界の時価総額の98%をカバーしていて、まさに世界株式全部です。
これに対応するファンドは楽天-楽天・全世界株式インデックス・ファンドなので月報を見ておきます。
日本が入ったり新興国が入るので米国の比率がやや下がります、銘柄数は今は8169銘柄ありますね。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除日本、円ベース)とは?
(MSCI世界株価指数、MSCI All Country World Index(ACWI))はモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI Inc)が算出し公表している指数で、先進国23ヵ国と新興国26ヵ国合わせた、計49ヵ国の各国株式市場全体の値動きを表す全世界株式指数です。
これもノーロード投資信託徹底ガイドを引用します。http://noload.558110.info/MSCIAllCountryWorldIndex.html
市場全体の上位銘柄85%をカバーしており、2849銘柄(2019年6月28日時点)から構成されていると書かれており、カバー率はFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスよりやや低いですが、それでもこれ1つで世界の85%の株式は凄いです。
で、ここから日本を除いているのがMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除日本、円ベース)となります。
この比率は中々しっくりくるものが無かったため対応したファンドの三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドの月報を確認します。
日本を除く国のほとんどですので米国の比率が高いですね、銘柄数は1328銘柄あります。
各インデックスの特徴
- MSCI コクサイ インデックスは日本を除いた先進国のみ
- FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスはまさに世界ほぼ全ての株式
- MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除日本、円ベース)は世界のほぼ全てですが、時価総額の上位銘柄に絞っているのと、日本が無い
ではどれを選ぶ?
やっとここまできましたが、選ぶ選び方は以下の2つです。
- ベンチマークのどれが自分に良いと思うか
- 同種のグループで1番手数料が安いもの
です、世界の全てに投資をしてこれで終わり!にしたいならFTSE グローバル・オールキャップ・インデックスになりますし、いやいや、日本株は別で考えるから日本株だけ外そうとなればMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除日本、円ベース)、いやいや、日本株も新興国株も外して別で考えるとなるとMSCI コクサイ インデックスになる訳です。
この中ではFTSE グローバル・オールキャップ・インデックスなら楽天-楽天・全世界株式インデックス・ファンドしかありませんのでこれで1つ決まります。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除日本、円ベース)なら三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンドしかないのでこれもこれで決まります。
MSCI コクサイ インデックスだけは残りの6銘柄なので手数料を再びパワーサーチで見てみます。
チェックその四 手数料比較
こう見ると上位2銘柄が拮抗しています、難しいですね、ならば最後は残高で見てみましょう。
出ました!ニッセイ外国株式インデックスファンドに軍配が上がりました、といってもこの2銘柄は差がないのでどちらでも大丈夫です、残高もどちらも問題は全くありません。
最終 銘柄比較
SBIの機能に銘柄比較があるので最後にパフォーマンスを比較しておきます。
本当は騰落率の3年で比較したいのですが、歴史が浅いファンドなため1年で見るとやはりベンチマーク毎の違いがあります。ニッセイと楽天は多少の誤差はありますが段々とパフォーマンスは近づくと思います、一方で他の2つのファンドは楽天は新興国と日本株が米国株に比べて劣後しているこの1年の状況が反映されています。三井住友は新興国の不調があるものの、日本株がないので若干良いです。
この結果を受けてどうみるかは各個人の判断です、日本株が今後世界に対して強くなる局面では楽天が勝ちますし、新興国が強くなると三井住友が勝ちます。
ここは皆さんが資産としてどこまで組入ファンドにカバーさせるかを考えて決めると良いと思います。
次回はその他の資産でも検証していきます。