サブスクと米ズオラ

サブスクは価値創造の継続 米運用支援大手ズオラCEO語る 2019年7月2日 日経産業新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46802440R00C19A7XR1000/

記事のポイント

  1. サブスクリプションの運用管理サービスを手掛ける米カリフォルニア州の企業でティエン・ツォ氏が2007年に設立
  2. サブスクリプションとは定額課金のこと
  3. 何を所有するかが価値だった時代は終わり、所有から利用へと流れが変わっている
  4. 成功のポイントは2つ、1つは会社の各部門の垣根を壊し一体となって顧客との絆を構築するべく一丸となる、1つは顧客ニーズの正確な把握、顧客目線を失うと失敗する
  5. デジタルだけでなく、リアルの世界でもサブスクリプションは有効と考えている
  6. ネットフリックスは映像配信、アップルがゲーム配信、マイクロソフトはエクセルの提供などを行なっている

ズオラは米国に公開していて株式を購入することができます。サブスクリプションビジネスを行う時に彼らのインフラを利用して顧客からの料金徴収などのサポートを受けられます。サブスクのインフラ企業といったところです。クレジットカード会社などが競合しそうではありますが今後も市場のパイが伸びるでしょうし、この企業に頼むと他に移行しにくいため、サブスク支援の会社にサブスクで仕事を頼む仕組みです。

ヤフーファイナンスで業績を見てみると、

売上は2017年1.1億ドル→2018年1.7億ドル→2019年2.3億ドルと順調に推移してます

営業利益は赤字で2017年マイナス3900万ドル、2018年マイナス4600万ドル、2019年マイナス7600万ドルと黒字化はしてません。これをシェア拡大のための投資期間と捉えるか、赤字が解消されず苦戦しているのかと捉えるかで買える株かどうかの判断が決まります。

株価は2017年に上場して当初は20ドル程度で一時30ドルを超えてましたが7月1日で15.44ドルで半値以下です。恐らく黒字化の話が出るまで株価は低迷すると思われます。

サブスクに事業内容を変えようとする試みは企業に今後も広がりそうなので将来有望だと私は思いますが、赤字なので評価しにくいです。なので打診買い程度で様子を見ながら追いかける必要があり、数年黒字化を待つやり方かなと思います。

サブスクで儲かっているスタイルの会社は日本にも数多くあります、7780メニコンはコンタクトレンズのメルスプランが収益源ですし3923ラクスはメールや企業会計ソフトが定額の収益源です。

サブスクリプションと言うと新しく聞こえますが、定額課金と聞くと今までもありました。顧客ニーズを捉えて一度利用すると替えが聞きにくいサービスや商品がやりやすいです。

私の金融業界は本来サブスクリプションに非常に向いています。投資アドバイスが定額課金されると短期の乗り換えも減るでしょうし、売らんがための営業も減るでしょう。一方で顧客との絆は深めないと無理解からくる解約も多くなるので今まで以上に担当者は顧客との人間関係の発展やコンサル能力を高め続ける必要があります。

商売としてはヒット商品を作って売り切る方が短期的には儲かり、サブスクリプションへの切り替えは実質値引きにつながるので一時的には業績は落ちます。なんでもサブスクリプションにすれば成功する訳ではないです。顧客が満足し、お金を定期的に払う以上の楽しみや喜びを提供し続ける企業が成功するでしょうし、その意味では商売の基本は変わらないと思われます。