MaaSと自動車メーカー

昨日あたりから日産自動車の大規模なリストラの話が各メディアで出ています。

個人的に考える日産が追い込まれた原因は

  1. ゴーン社長更迭に始まるお家騒動とイメージダウン
  2. モデルチェンジが遅れて他社に比べて見劣りがする製品を販売奨励金で無理に販売していた反動
  3. 自動運転開発、電気自動車等次世代車投資への負担で資金的余裕が無い

だと思われます。今まで自動車メーカーは自動車メーカー同士のシャア争いでも大変なのが、米国のIT企業が日系自動車メーカーを上回る研究開発費を自動運転分野に費やしており、トヨタですら焦りを感じている状況です。競争相手が増えてきてます。

これに更に拍車をかけそうなのがMaaSの動きです。

MaaS とは、MaaSとはMobility as a Serviceを略した言葉で、そのまま直訳すると「サービスとしての移動」という意味になります。概念としては「人やモノの移動=サービス」と捉え、人が目的に合わせて移動する時に個別個別で予約や決済、ルートを調べたりしていたのをワンストップで簡単にまとめてしまおうという考え方です。

例えば今ならば関西在住の私が東北出張が入ったとします。と、なると、まず、飛行機、泊まるならホテルの予約、現地で営業するレンタカー予約をまず行い、個別にクレジットカード番号を入力して決済を行います。

実際に行くときは空港まで電車を使い、レンタカーを返した後にまた別の場所に電車で行くなら電車賃を支払います。

あとで帰ってきたら個別の領収書を用意して、もしくは電車賃を計算して会社に経費の申請を行います。

何となく皆やってますが、これが結構面倒で、領収書をいちいち保管、経費申請もいちいち端末に入力を個別にしないといけなかったりと結構かかるので、面倒だと放っておいたらバックオフィスから催促されたなどの経験がある人もいるのでは無いでしょうか。

これが、手元の携帯アプリから進んでいくと予約ができ、経費も自動的に申請してくれるとなるととても楽です。

また、休日もどこか遊びに行こうかとなると、場所を決めた後に自家用車で行くのか、電車で行くのか、飛行機で行くのかを考えて、目的地の観光情報を集めて泊まる旅館やホテルを探して予約を個別に入れて決済も個別に行います。

これもアプリとかで移動手段毎に適した観光情報を合わせて表示して旅館やホテルも表示して予約だけして後は当日移動するだけで決済はクレジットカードでまとめてとなるととても楽です。

また、料金も個別ではなくて普段使いのエリアならばレンタカーも電車も飛行機もサブスクリプションで定額などになってくれれば安く済みます。

かなり幅が広いですが、MaaSとは移動に関わるサービスを全て1つとみなして、より快適に移動する為のモノ全てなので電鉄、飛行機、自動車はもとより旅行会社、ホテル、旅館、カード会社等も絡んできます。

この中での自動車の存在は主役ではなくて手段の1つになります。使用者は目的に応じて自動車を使うのか、公共交通機関なのか何を使うのか、場面毎に変えるので、自家用車を利用する比率が減る可能性が高いです。レンタカーやカーシェアリングが主役になると思われます。

そうなると日産自動車やトヨタ自動車などのメーカーはこれに対応する需要が増える分野の自動車は増えますが、収益に大きく貢献する高級車の需要は減る可能性が高いです。

また、販売台数ですが、レンタカーやシェアリングが進めば減る可能性が高いです。

様々な公共交通機関とレンタカー、カーシェアが結びつき、全部定額で利用できるとなると自家用車は置き換わると思います。

そして、最終形態がこれに自動運転が加わる事です。完全自動運転の実現はまだまだですが、各社が研究を進めていくといずれ実現します。完全自動運転が実現すると家庭に家族の人数分クルマが必要ともならなくなります。

今は各社どれだけ早く他社に先駆けてサービスを実現し、囲い込むかの段階です、また、最初に自動運転を実現させた所が自動車のシェアを大きく取ると予想します。なので株式市場でも想像がつきにくいので株価に影響を与えるようにはなっていません。

ここで自動車メーカーの悩ましい所は電気、水素、ハイブリッド、ガソリンと自動車の種類が増えてきた事です。これにも研究開発費を多額に割いています。ライバル会社とのシェア争いに所有から利用の環境変化、自動運転開発に多種の自動車開発とお金が分散している状況です。

もちろん、地方では自動車の需要が引き続き高いのと、やはり高級車を所有するステータスは残ると思われますが、皆が段階を経て「いつかはクラウン」的な、今までより高いクルマを持つのが目的で頑張るか無理してローン組む様な考えは無くなりつつあります。

今後、自動車メーカーの合従連衡も進むと思われます。

また、自動車メーカーでは無いですが、自動運転やシェリングが進むと不動産価格にも影響が出てくると見ています。現在は駅近ブームで駅から徒歩何分が不動産選びの重要ポイントです。

これがMaaS革命が進み、定額で移動手段を利用できるようになれば毎日タクシーで駅まで行ったり、カーシェアを利用して駅まで出るとかすれば、多少時間がかかっても住宅費用が数千万円変わるなら考える人も出てくると思います。

人生で生活に関わる品で一番高い買い物は住宅と言われており、次に高いのが自家用車です。住宅は数千万円一気に出るので目立ちますが、自家用車も300万円位の自動車を10年毎に変えていけば人生で5台くらい購入し、車検や駐車場、自動車税、保険費用を考えると月に換算すると3万円位かかり、50年所有すれば1800万円、合計で3000万円以上使っています。

果たして本当にこれが必要なのか、改めて考える時期になりつつあることを考えさせる日産自動車のリストラニュースでした。

個人的には高級車乗りたいなぁと思いますが、もはや古いのかもしれません。