日韓経済戦争勃発、世界の半導体業界に何が起きるか 2019年8月6日JBpress湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190806-00057228-jbpressz-bus_all
日韓問題が毎日の様に出ています。日本の報道や日本人としての感情から行くと今回の措置はやむなしと思います。ただ、いまひとつ全体像が理解できていなかったので今回の記事は非常にありがたいです。
記事のポイントは
- 7月4日以降「フッ化ポリイミド」「EUVレジスト」「フッ化水素」の3種類の半導体材料について経済産業省の輸出に関する審査が必要で最大3ヶ月かかる
- 一方でこれらの材料の韓国大手の在庫は1ヶ月分しかないので生産が止まる恐れがある
- サムスン電子とSKハイニックス合計で世界シェアがDRAM72.6%、NANDが同シェア39.4%
- DRAMが製造できなくなった時のインパクトは凄まじく、仮に2カ月間出荷が止まったとすると、2億3000万台のスマートフォン(14億台超)、4300万台のPC(2億6000万台)、2500万台のタブレット、2785万台のSSD(1億6715万台)、217万台のサーバー(1300万台)、および各種デジタル家電に被害が出る(カッコ内は2018年の総出荷台数)。
- 半導体工場の稼働が止まると、シリコンウエハ、EUV以外のレジスト(i線用、KrF用、ArFドライ用、ArF液浸用がある)、CMP用のスラリ、フッ化水素以外の薬液、ドライエッチングやCVDに使われる各種のガスのビジネスが消失する。
- フッ化水素は半導体の工程が1000くらいに分かれている中の100くらいで使われているが、1つ1つの工程で材料の調合が違い、場合によっては数年かけて分析して作らないといけないので簡単には他国材料で代替が効かない。
- 仮に韓国が日本に対してDRAMを輸出規制を行えば、スマートフォン、PC、SSD、サーバー、各種デジタル家電、スーパーコンピュータに至るまで、日本企業は何一つ製品をつくることができない
半導体に関しては日本が材料を提供して、韓国メーカーがDRAMやNANDを生産し、購入した電子部品メーカーが製品を作り、色々なところで使われています。
文中に書かれていたわかりやすい企業だと
- アップルやファーウェイなどのスマホメーカー
- 米HPや米DellなどのPCおよびサーバーメーカー
- アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドメーカーがまず影響を受けます
また、日本の半導体を作成する上での装置を作っている企業ですがこちらは韓国メーカーからの機種の変更の影響を受けると思われます。
- コータ・デベロッパは東京エレクトロン(TEL)から韓国SEMESへ
- ドライエッチング装置は東京エレクトロンから米Lam Research(Lam)や米アプライドマテリアルズ(AMAT)
- 熱処理装置は東京エレクトロンからAMATに
- CMPは荏原製作所を使わずAMATに
- 枚葉式洗浄装置はSCREENや東京エレクトロンからSEMESに
- 測長SEMは日立ハイテクノロジーズからAMATに
- プローバは東京エレクトロンや東京精密からSEMESに
- テスタはアドバンテストから米テラダインへ
と文中に書かれております。
これだけではないです、ここに載っているのはあくまで製造装置と出口で機器を利用してネットやクラウド事業、通信事業を行なっている会社が出てますが、DRAMが無ければスマートフォン、PC、SSD、サーバー、各種デジタル家電、スーパーコンピュータとなるのでチョット広すぎて想像つきにくいですが、電機メーカーから自動車メーカー等とても幅広く影響を受けると思われます。
もちろん、国もわかっていて今回の措置に出ていると思われるので全く生産を止める様な事態には持っていかないと思えますし、結果的にはサムスンやSKハイニックスの生産を止めるまではやらないと思われますが、国産メーカーに対して韓国が強硬手段に訴えてきた場合世界的な問題に発展しかねないです。
なので、少なくともここに載っている会社の株式は外した方が良さそうですし、逆にシェアを奪う米国企業の株式は買いなのかもしれません。
今回優位に立っている様で混乱が深まると日系企業にも大きな影響が出ます。最後はアメリカにも大きな影響が出るのでアメリカの仲介が必要な問題なのかもしれません。
ここで残念なのが日本のメーカーでDRAMを作れる会社がもはやない事実です。競争に負けたとはいえアキレス腱です。
意外と世界の景気を左右する大きな問題になるかもしれません。