J-REIT投資について

アイキャッチ画像は東証REIT指数の開始からの月足チャートです。

最近の新聞記事などでREITが活況なことを取り上げる記事が増えてきました。

REITとは(Real Estate Investment Trust)の頭文字をとった言葉です。

日本なのでJapanのJがついてJ-REITです。

投資対象はざっくりというと不動産物件をたくさん保有している会社の株式で、一般の会社と大きく違うことは、不動産を保有、管理することのみを目的とした会社になるので一般事業会社のようにさまざまな事業を行い、会社を成長させることができません、あくまで不動産物権の保有の拡大や賃料の増加などが会社の成長の源泉です。また、利益の額の90%以上を配当にまわすことで法人税が非課税になる優遇措置を受けており、不動産会社などが親会社となり、積極的に設立、上場させて銘柄が増え続けています。

元々は2001年に三井不動産系列の日本ビルファンド投資法人が上場したのが最初です、当時は不景気で不動産市場が冷え込んでいました。なんとか市場に資金を呼び込みたい業界と政府は1棟のビルを何十億円も出して購入する企業や個人は少ないのでこれらを複数集めて保有する管理会社を設立し、この投資法人の株式を市場に上場させ、小口化することで沢山の人々の資金を集める目的でスタートさせました。

以来認知度が高まり、どんどん銘柄数も増えて一般的になってきました。

数が増えてきたので日経平均のような指数もできるようになりました。それが東証REIT指数です。

2003年の3月31日の終値を基準として1000とし、4月から取引を開始しました。以来、リーマンショック前の2007年には2612まで上昇しました。

しかし、2008年11月には683までの大幅な下落も記録し、当時の金融市場の悪影響をまともに受けてしまいました。

ただ、アベノミクスによる金融緩和、米国経済の好調さにつられて、どんどん値段が回復し、2019年8月8日で、東証REIT指数は2024.10となっており高値圏で推移しています。

足下、不動産投信が人気化している最大の理由は日本における低金利の長期化に加えて、米国など海外の金利の低下が大きいです。J-REITは配当利回りが4%程度あるため米国10年債利回りが1.7%程度まで低下した米国の資金も一部向かってきているようです。

もちろん、過去の値動きを知っている人からすると今から買うの?という声があるのは事実です。ただ、世界を見渡すと、金融市場に利回りを取れる金融商品が日に日に少なくなっているため、最初は格付けの高い社債に投資をしていた投資家が、格付けの低い社債に流れ、ついで他の資産に流れ、一部は不動産投信にも流れ、、とどんどんリスクをとって利回りを確保しようという動きがあります。

これは我々のような個人と違って、年金基金や投信運用会社、企業の運用部門などお金を運用することが仕事の人々とそこにあるお金は仕事なので運用をやめるわけにはいけません。なのでリスクがあることは承知でどんどん運用対象を広げている訳です。

ただ、個人投資家にとってもメリットはあって、例え高値で購入し、価格が下落することがあっても配当は入ります。4%程度の配当が入れば10年位保有し続ければ3割-4割の下落には耐えられます。忍耐強く長期投資で、下落したら追加買いを行えば報われやすい金融商品といえます。また、不動産投資ではありますが、いつでも金融市場で売却ができるので流動性が高いこともメリットです。

日銀も買い入れ対象にしており、国としても株式と並んで活性化してほしいマーケットです。

では、投資する際にどんな投資方法があるでしょうか。候補としては

  1. 個別に選んで投資を行う
  2. ETFやインデックスファンド等でまとめて投資を行う

ですが、個別投資は株式投資と同様で運営母体の信用力や保有物件の優良さ、入れ替えの巧拙などを考えながら投資を行わないといけないため知識が少ない人からするとやりにくいかもしれません。ただ、これは一番儲かるやり方で自分なりの複数銘柄のお気に入りを保有して、下がったら追加してどんどん増やしていくと手数料も安く済み、配当を受け取り続けられます。

次にETFやインデックスファンドで購入するやり方です。このやりかたは個別銘柄の状態をチェックする必要がないので初心者でも取り組み易いです。この下に一覧表があります、これはJ-REITに投資ができるETFやインデックスファンドを純資産総額順に並べた図です。この他にもアクティブファンドやETN等がありますが、REITは全体でも銘柄数が少ないのでETFとインデックスファンドで十分だと私は考えています。

特徴的なのが、実質年間分配金の額が大きいものが上位に来ている様に見えます。本来ならばインデックスファンドの良い所は、分配金も受け取らずに再投資に回して、複利運用を行える所で、長期で保有すると分配を受け取った場合に比べて大きく増えます。ただ、やはり分配金があったほうが気持ちが良いと感じる人はいまだに多いようです。また、不動産投信も日銀の買い入れたい小に入っており、日銀はETFを通じて購入するのでこれの影響も大きいと見られます。

では、一口に不動産投信に投資しようとしてもこれだけあっても大変なので純資産総額は100億円を超えている銘柄のみ調べました。また、100億円を超えていても確定拠出年金やSMA向けなどに作られているファンドは一般に売買ができないためこれも分析対象から外しました。

こうやって絞ったのが下の表です。上の表がETFで10銘柄、下の表がインデックスファンドで8銘柄です。ここ1年のリターンと信託報酬などを追加しました。

まず、ETFは非常に絞りやすかったです。市場全部の銘柄を対称にしているのか、コア銘柄を対称にしているのかの設計上の多少の違いはありますが、パフォーマンスは大体似ています。なので、売買高上位を取り上げます。

表の一番右側にここ25日間の平均売買代金を記入しています。そうなると100億円を日々で超えているETFは2銘柄しかありません、よって野村の東証REIT指数連動型上場投信とブラックロックのiSコアJリートETFが選択肢になります。現在では2018年の7月からマーケットメイクが導入されているので日々の売買には困らないと思いますが、市場の急変などでどこまで安定した動きになるかは個人的にわからないためやはり一般の売買高が多い銘柄を選んでおきます。

インデックスファンドについてはETFができる前から設定されている商品も多くあります、ここでよいと思ったのが緑で塗っている3銘柄です

理由は

  1. 分配を出さないので複利効果が期待できる
  2. 信託報酬が平均より低い

分配金を受け取りたいならばETFが良いと思います。信託報酬も安くて売買もできるので先ほどの2銘柄を両方でもいいですし、どちらかでもいいです、保有しておいておけばよいです。年間で3%以上の分配が出ています。

一方でファンドにする有利なところは複利効果です。分配を受け取らない代わりに元本を増やして大きく育てる、また、金融機関にもよりますが、積み立て投資ができれば良いです。毎月無理のない範囲で数万円でも積み立てれば将来大きな財産になると思います。これをある程度たまった段階でETFにスライドすれば今度は分配金を受け取ることで生活費の足しにできます。3%ならば1000万円でも30万円ですし、2000万円あれば60万円です。

ちなみに、年金の問題で話題になった2000万円不足する問題は、原因が毎月の生活費が5万円程度年金だけでは足りないモデルケースのことを言っており、年間60万円の不足65歳から30年程度だと2000万円程度足りないという内容です。

価格の変動はあれど2000万円のJ-REITのETFを保有すれば元本に手をつけることなく、分配金だけで補えます。

まとめ

現在はREIT指数が2000を越え、もしかすると世界的な金利低下局面に入ったため短期的に上昇する可能性が高いです。場合によっては過去の高値の2612を越えてくる可能性すらあります。

ただ、だからといって個別のETFを一気に購入するかは良く考えたほうがいいです。私の見通しどおりにならなかった場合、過去には2612が683になった歴史があることも事実です

現在お勧めのやり方は、3つです。

  1. 予算全体を4分割程度にして、1/4をETFにまず投入、あとは、15-20%程度下落するにしたがって追加投入してゆく
  2. インデックスファンドでひたすら積み立て投資
  3. 一気にすべてインデックスファンドを買ってしまう

1のやりかたはある程度の貯金がある日と向け、2のやり方はこれから資金をためる人向けです。

最後の3のやり方は少々今までの私の話と矛盾しますが、インデックスファンドなのが味噌で、分配金は受け取らずに複利運用です。

実はREIT指数のほかに配当込みの指数も存在します。これによると2007年の2612で投資を行ってしまったとしてもひたすら保有し、分配も再投資を行っていれば2014年ごろには元本を回復しています。途中はとても忍耐が必要ですが、分配金による追加買いが助けてくれています、本日でも東証REIT指数は2024.10と当時の価格を回復していませんが、配当込みだと大幅に元本は増えています。

J-REITは不動産市況に左右されます、不動産市況は時の金融市場の影響も大いに受けます。なのでまったく安全な投資かといわれると株式投資と同じとお客様には答えています。ただ、個別株投資と違うところは配当を出すための会社の株式なので配当を受け取り続けたいと思う人には良い投資商品と言えます。

また、これは不動産に限ったことではないですが、投資対象は耐震基準を満たしたビルのみで震災が起こっても壊れるリスクは小さいですが、地震等の自然災害にも配慮して投資を行いましょう。