日経平均予想の見方

平成から令和に元号が変わった2019年ももうあと10日で終わります、この時期になると来年の相場予想が沢山出てきます、今回は日経平均に絞っていくつか取り上げてみました。

日経平均予想の数字を鵜呑みにしないこと

まず、いくつか取り上げていく中で今年の日経平均は24000円近くで終わりそうです、この水準からどうなるのかは気になる所ですが、数字は余り気にしないことです。

というのは予想は変わります、同じ人が1年間同じ数字を言い続けるかというとそうではないからです。また、数字だけ信じて大きく相場を貼ると外れた時にショックも大きく、身動きが取れ無くなります。

では予想の何に注目するのか?

これは各専門家の予想のもととなる根拠です、金融関係者は全て同じ時代に生きているわけで、皆今の事実に基づいて予想を立てています。

しかし、結果が皆バラバラになるのは将来こうなるからこの数字というこうなるというシナリオが違うからです。

そのシナリオをいくつか覚えておいて、世の中がその通りに近づいてきたらそのシナリオを想定している人の数字に近づくということになります。では具体的に記事を見ていきましょう。

日経平均株価の2020年の値動きをアナリストが予想!
2020年の高値は2万5600円、安値は2万1500円ダイヤモンドザイ2019年12月21日公開

https://diamond.jp/articles/-/223930

  • アナリスト100人の回答を集計
  • 2020年の日経平均株価は「5月」と「12月」が高値になると予測するアナリストが多い
  • 第一生命経済研究所の永濱利廣さんは「2万5000円まで上がる」と予測、「米中通商交渉の進展、米中の経済好調が日本経済も引っ張る
  • コンテクスチュアル・インベストメンツLLCの広瀬隆雄さんは、「今後東京オリンピックの訪日外国人の消費による日本経済への恩恵が織込まれていく」と予想。
  • しかし、9〜10月ごろは株価下落予想
  •  「9月下旬には米国の大統領候補による討論会が開催予定。相手陣営に対するネガティブキャンペーンが行われるため、株式市場にとってマイナスのニュースも増える」(野村證券・若生寿一さん)
  • その後12月高値へと予想
  • 過去のデータからは、現職大統領が再選する可能性が高く、株式市場にとっては、「減税などの財政出動も期待できるため、トランプ再選はプラス材料」(大和証券の木野内栄治さん)
  • 米国の大統領選挙後に米中貿易戦争が再び激化する」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾さん)という意見もある

ここで出てきた強気根拠を並べます。

  • 米中通商交渉が進展し、米中経済好調
  • オリンピックで訪日外国人の消費による日本経済への恩恵がある
  • トランプ大統領の減税などの財政出動を期待

マイナス材料です

  • 米大統領選挙の相手陣営へのネガティブキャンペーン
  • 米国の大統領選挙後に米中貿易戦争が再び激化

では次の記事を見てみます。

2020年は日経平均が大きく上昇すると読む理由2019/12/16 東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/320016?page=2

  • 2万4000円はスタートライン
  • アメリカの株式市場から見れば、利下げと流動性供給による現在の需給相場が、2020年1年かけてゆっくりと業績相場に移行し、2021年には明確な業績相場が現れるとみる
  • FRBの金利据え置きは今までの3回の利下げの効果の勝利宣言
  • 大統領再選を控えるドナルド・トランプ氏にとって株価下落が許されないという事情がある
  • 安倍首相の最終目標は憲法改正、何が何でも2020年に景気を良くし、国民の支持率を上げなければならない
  • 26兆円の経済対策はもちろん、赤字国債発行まで動員して何でもありの政策を打って来ると思われる。消費税増税実行で財務省の口をふさぎ「やりたい放題」の財政政策の準備は整った
  • 日経平均予想のPER(株価収益率)14倍、米S&P500の19倍の比較感も後押ししそう

かなり強気記事です、株価上昇の根拠をまとめます。

  • 米国は景気回復期に入る
  • トランプ大統領は株価を下げられない
  • 安部首相も憲法改正には株価を下げられない
  • 日本は大きな景気対策を相次ぐと予想

2020年「日経平均株価」の見通し…6月末で24,800円を予想2019.12.21幻冬社ゴールドオンライン

https://gentosha-go.com/articles/-/24769

  • 年前半は上昇基調が続く見通し、日経平均は3月末で24,400円、6月末で24,800円を予想
  • 米中の緊張が緩和に向かい始めたことで業績回復期待が高まり、日本株は年明け以降、慎重ながらも上値を試す動き
  • 米大統領選挙前はリスクが取りにくく、日経平均はいったん調整
  • 三井住友DSアセットマネジメントの企業調査第一部は、米国主要企業227社(金融を除く)の業績見通しを2019年12月6日時点で、売上高、経常利益、当期純利益の見通しは、2019年度が順に前年度比+0.9%、同-4.6%、同-11.7%、2020年度は同+1.6%、同+6.1%、同+7.6%、2020年度は、2019年度の増収減益から増収増益に転じる見込み
  • 国内では、3月期決算企業の2020年度の業績予想が、2020年4月下旬から5月上旬にかけて公表される。期待に添った内容であれば、株価の下支えになる
  • 米中貿易協議の進展や日本企業の業績回復の度合い次第で、上振れ余地は拡大する
  • 2020年も、突発的な悪材料には注意が必要だが2019年5月以降、主要17カ国・地域が金融緩和に踏み切っており、世界の金融環境は極めて緩和的です。2020年はこの環境が株価の下値リスクをある程度、抑制する

根拠をまとめます

  • 米中の緊張緩和が追い風
  • 米国の企業業績は2020年には回復に入る
  • 世界の主要国が金融緩和状態で非常に緩和的なため投資資金は豊富

2020年子年の相場ジンクス 西暦末尾「0」の年は株価大暴落日刊ゲンダイ2019/11/13

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/264609

  • 来年の干支は子(ねずみ)で、十二支のなかでは2番目に騰落率が高い
  • 戦後に東証が再開した1949年以降、日経平均の子年の平均騰落率は23・8%上昇で辰年(28・0%)に次いで2位だが96年はマイナス2・6%、08年はマイナス42・1%と暴落
  • 西暦の末尾が『0』(十干では『庚』)の年は、株価下落が多い。日経平均の勝敗は2勝5敗で、騰落率はマイナス4・1%と最下位
  • 90年の年間騰落率はマイナス38・7%
  • 00年はITバブル崩壊でマイナス27・2%、10年は円高直撃でマイナス3・0%だった。
  • 「とはいえ、NYダウは史上最高値を更新し、来年は米大統領選が控えています。トランプ大統領が株安を容認するとは思えません。少なくとも予備選が集中する20年3月のスーパーチューズデーまで株高傾向は続く可能性があります」(安藤富士男氏)

根拠を並べます

  • ジンクスの話
  • 子年は好調なはずだが年によっては下落も
  • 西暦の末尾が0の年は下落した過去が多い

どうなる来年の日本株2019/12/4日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52916330T01C19A2EN2000/

  • ブラックロック・ジャパンの福島毅・取締役チーフ・インベストメント・オフィサーと野村アセットマネジメントの村尾祐一・日本株シニア・インベストメント・オフィサーは、2020年の日本株の見通しについて、日本企業が増益に転じて日経平均株価は18年10月の高値(2万4270円)を更新するとの見方を示した

福島氏

  • 来年の大統領選に向けて支持率を意識するトランプ大統領は、戦略的に柔軟な姿勢をとる
  • 世界景気は悲観的過ぎた見方から改善傾向にあり、日本株にとって追い風だ。日本企業は来年度に5~10%の営業増益が期待でき、日経平均は18年の高値を超えそう
  • 中国の経済成長率が市場予想を下回って鈍化することや、今年韓国との間で起きたような政治リスクが中国に対しても発生し、輸出の下振れ圧力となることは警戒

村尾氏

  • 日本企業の1株当たり純利益(EPS)は5~10%増となる見通しだ。PER(株価収益率)が足元の14倍から15倍まで伸びれば、日経平均は2万5000円をめどに上値を追いそう
  • 人件費の上昇などをきっかけに、低成長下でコスト・プッシュ・インフレが発生すること
  • 金融政策が引き締めに転換
  • 中国を中心とした過大な債務のリスク
  • 金利が上昇すれば、幅広い業種にクレジットリスクが波及する
  • 来年選ばれる大統領が増税を打ち出すこと

まとめると以下になります

  • 2020年は日本企業は5〜10%の増益見通しにより今年の高値を超える可能性が高い
  • 一方で中国経済減速や債務増大リスク
  • 金融政策が引き締めに転じること
  • 政治問題
  • 新米大統領の増税リスクには警戒

プロに聞く20年の日経平均予想 2万7000円台が最多2019/12/20 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53593470Q9A221C1000000/

  • 日経QUICKニュース社(NQN)が株式市場関係者57人に20年末の日経平均株価の予想水準について聞き取り調査
  • 2万7000円台が10人と最多で、上は3万円から下は1万4000円まで大きく分かれた
  • 最も高い3万円を予想する武者リサーチの武者陵司代表は米中貿易協議の休戦や米景気拡大、国債から株式への資金移動により世界的な株高基調が持続すると予想
  • 2万7200円まで上昇すると見込むマネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは、来期の日経平均(採用銘柄)の1株利益は10%増の1815円程度が見込まれる」PERは過去平均15倍程度で27200円予想
  • 2万2000円と回答した野村アセットマネジメントの榊茂樹チーフ・ストラテジストは「企業業績の減益が少なくとも20年上期までは続き、利益見通しの下方修正を通じて同年上期に大きく株価が下落する」と説明
  • 1万4000円と最も慎重な見通しを示したミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表は、米国の制裁関税の影響で中国経済の減速が続く、また、中国で社債の債務不履行が増加して信用収縮が起きると予測、それにより「中国への業績依存度が高い日本を含むアジアの株式市場から、グローバル投資家が大規模に資金を引き揚げる

ここは綺麗に強気、弱気の意見が並んでいます。

強気派は米中貿易協議の休戦と日本は2020年には10%程度の増益を見込んでいます

一方で弱気派は米中貿易問題は続き、中国景気の減速、日本の企業業績も2020年はまだ見込めないと見ています。

まとめ

全体的に強気意見が多い印象です、根拠は?というと以下にまとめられます。

強気派

  • 米中通商交渉が進展
  • 中国経済の回復
  • 米国経済好調
  • インバウンド消費の伸び
  • 大統領選挙を控えトランプ大統領側の経済政策が景気刺激的
  • 日本も景気刺激策を繰り出す
  • 日本企業は2020年5〜10%増益見込
  • FRB始め世界の中央銀行は緩和的

弱気派

  • 米中通商交渉の停滞
  • 中国経済の低迷、債務問題の表面化
  • 大統領が経済に不寛容な人がなるリスク
  • 日本企業の回復が緩慢
  • 西暦が末尾0の年は不調なジンクス
  • 金融緩和停止や引締めリスク

どうでしょうか?同じ今の政治状況や経済状況を基に予想している人々ですが、真逆の予想になります。

ジンクスはともかくとして、ポイントは以下に集約されます。

  1. 米中通商交渉
  2. 大統領選挙
  3. FRBの動き
  4. 中国経済の動向
  5. 日本企業の利益の伸び予想

1番大きいのは米中通商交渉でしょう、お互いが休戦している間は好感しますし喧嘩したり関税引き上げ合戦をしているときは危険です。

大統領は今の所トランプ大統領再選濃厚と見ていますが、トランプ大統領だってなった事は当時はサプライズだったので誰がなるかはまだわかりません。

FRBは2020年は金利据え置き予想です、ただ、足下年末年始の越年資金を追加で50兆円規模で供給する事を実施しており、実質金融緩和を行なって株価を支えています。これをやめた時にどんな反応が来るかはわかりません。

中国はまずはアメリカ次第でしょう、通商交渉を軟着陸させられるかがカギです、債務問題はとても大きな問題で中国政府がうまく制御できれば問題ないですが、問題視しすぎて銀行への資金回収や自己資本比率の改善など正しい行動を厳しすぎる様にしてしまうと貸し渋りが蔓延して景気を冷やします。

日本企業の増益予想ですが、これら米中の経済に左右されます。投資家としては三カ月毎の四半期決算、各企業や業界の決算をよく見て上向きなのか、下向きなのかを判断する必要があります。

年末年始の株価予想はマスコミにとって大きなニュースで色々な予想が出てきます。数字だけを見ると見誤ります。ぜひ話している人の根拠に注目し、根拠を自分自身で納得できるかどうか、また、世の中が根拠が言う方向に進んでいるかをよく見てください。