2000万円問題の解決策②

税優遇生かし2000万円 2019年7月13日 日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO47274140S9A710C1PPE000/

  1. 積み立て投資が大きな解決策、それには利益の非課税制度の活用を
  2. iDeCoと確定拠出年金のグループとNISAと積み立てNISAのグループがある
  3. iDeCoは確定拠出年金制度がある場合企業が認めるかどうかで出来るかどうかが変わる、企業によっては社員の給与からの天引きで上乗せ出来る様にしている所もある
  4. NISAと積み立てNISAも選択制
  5. シュミュレーションでは1990年に制度があったと仮定して30年間の積み立て投資をiDeCoの上限金額12,000円と積み立てNISAの上限33,330円を毎月かけて投資したと仮定、世界株式に投資をする投資信託にした場合今年3月で積立額合計1590万円に対して5250万円になっている
  6. 債券などに分散する投資を行っていたと仮定しても3400万円、月々の掛け金を3万円と仮定しても2250万円になる
  7. 30年間の間に相場の上下動は多く、いかにして継続できていたかが結果として大きくパフォーマンスを左右する
  8. 制度をすでに導入している所でも投資信託にせずに預金で置いている人が圧倒的に多い、iDeCoで6割、積み立てNISAで4割が預貯金かそれに近い商品

感想

つい最近2000万円の年金が老後に不足すると報告書が金融庁から上がって問題になりました。影響は大きく、消費がかなり足下で落ち込んでいるようです。

取引させていただいているアパレルの社長さんは、この問題が出るまでも服はあまり売れていなかったが、この問題が出てからピタッと止まってしまったと嘆かれていました。

しかし、本当にそんなに大きなことなのでしょうか?問題を大きくしている理由は個人的には3つあるとみており、それが解決されれば特に問題視される話ではないと思っております。

  1. 政治家が報告書を読んでいないで騒いでいる、政治家自身にも金融リテラシーがない
  2. iDeCoや積み立てNISAの運用状況からみても金融知識が全くない人が6割以上おり、少し考えを変えるだけで人生が大きく変わる事に気づいていない
  3. 相談できる場所、仲間がいない

1の政治家も報告書を読んでいないのに騒いいでいるのはナンセンスな事です。政治家自身は野党でも与党でも2000万円以上の報酬と経費が使え、議員年金もあるのでそもそも老後を心配することのない人々であり、自分たちがよければよいという人々で、選挙材料にしか考えておらず、期待できません。一緒になって政治活動をしたり、デモに参加するのはストレス発散としてはありかもしれませんが、政治家を応援したところで自分の生活が良くなることはありません。

2の殆ど預貯金で積み立ては非常にもったいないです。全くもって制度の無駄遣い、今日の新聞を読んで明日からネット上で運用商品を変えれば済む話です。が、恐らく何にすればよいかがわからないということと、日本が1990年以降のバブル崩壊の影響が心理的に大きく、投資=損をするものと思い込んでいる可能性が高いです。

3は金融機関に大いに責任があります。販売会社として売買を行うことだけに注力してきた結果、積み立て投資の促進を行わなかったことと、むしろ、金融やネットのリテラシーが低い方が営業上は都合がよく、放置してきたからです。金融機関は相談出来る場所では無いです。また、世の中の投資スクールやセミナーも結局は高いだけだったり、不動産販売目的だったりとちょっと違うなと感じる場所が多いです。

既に1億円以上の金融資産を保有している人は今回の問題は影響ないですし、運用の方法は積み立て以外にも沢山あります。個人的には方法も知っていますが、今日のテーマではないので省きます。

問題はこれから資産を形成して今後に備えないといけない人々です。

2000万円対策としては簡単です、3つの以下の方法を実行すれば大丈夫です。

  1. 毎日最低1,000円、年間で36万円の積み立てNISAを行う、もし、企業が確定拠出年金をすでに導入していて、掛け金がある場合は、36万円から計算上引いた金額でも大丈夫です。
  2. 出来るだけ簡単な本を選んで数冊読むこと、できればインデックス投資についてとか、投資全般の優しい解説本がお勧めです。
  3. 金融について話ができる仲間を作る努力を行う。

です。

ただ、それぞれの注意点も書いておきます。

確定拠出年金が導入されている企業は割と大手の企業に多いため、退職金がそもそも2000万円位出る会社が多かったりします。なので、もしかすると今回の問題が関係ない可能性が有ります。退職金制度もチェックしたほうがいいでしょう。また、年間36万円積み立てですが、新聞のシュミュレーション通りに事が今後も図れた場合ですので、パフォーマンスは未確定です。理想は積み立てNISAとiDeCoも絡めた年間で50万円位は積み立てるのが理想です。難しければ3万円からスタートして徐々に増やすのが良いでしょう。3万円も難しければ、まずは毎月手取り月収の1割を積み立てることを目標に、徐々に増やしてゆきましょう。

本といってもどれを読めば?とあると思います。世の中には株式投資で1億円を作ったとかの本が多いです。これはこれで参考になる本が多く、私も読んでいますが、投資初心者から見ると何が何だかわからないと思われますし、同じようにやっても成功者は損切が上手かったりしますので、同じ事を投資初心者は出来ずに、いきなり損を抱えてしまい、どうしていいかわからず、投資をやめてしまうかもしれません。証券口座を開設することは運転免許を取る以上に簡単な事ですが、個別株式投資は興味と知識が必要です、免許取り立てでいきなり、高級スポーツカーを運転するみたいな所があるので、まずは運転しやすいフィットやカローラとかに該当する車を運転する様な投資の仕方が無難です。

そこで、私の書評にもありますが、

  1. 水瀬ケンイチさんの「お金は寝かせて増やしなさい」
  2. 中野晴啓さんの「つみたてNISAはこの8本から選びなさい」
  3. 山崎元さんの「お金の増やし方を教えてください」

あたりが良いと思います。それぞれ多少考え方が違いますが、読んでみて一番しっくりくるやり方を選べばよいです。投資に100%正解はありません。

最後に一番大切なのが、「続けること」です。投資は山あり谷ありです。今まで何も行ってなかった人からすると、100万円の貯金があって預金で3万円積み立てすると翌月は103万円ですし、1年経つと136万円です。

しかし、同じ積み立てでも投資商品に回すと翌日から価格が変動して100万円がつみたてても90万円に落ちていたり、110万円になったり、もっと動くこともあります。

この時の心構えとしては「忘れること」と「相場の下落を喜ぶ気持ち」です。「忘れる」とは全く気にしないというわけではなく、毎日チェックするとか上下動を見て一喜一憂しないという意味です。老後の資金であり、積み立てて増やすのが目的なので毎日見ても余り意味はありません、むしろ、下落時に精神的に消耗するので完全に忘れてしまってもいいです。見るなら年に1回くらいでもいいでしょう。

「相場の下落を喜ぶ気持ち」とは増やすのが目的なのに減る方向を歓迎するとは?と思われるかもしれませんが、積み立て投資は一定額を同じ金融商品に投資を行う投資法です。なので上昇時と下落時では同じ金額でも購入できる商品の口数が違います。3万円投資でも購入対象が2000円なら15口ですが、1000円なら30口購入でき、2つの平均は1333円になり、安い期間が長ければ長いほど沢山口数を購入できるので後々有利になります。不況や相場下落は歓迎すべきことです。

このマインドを持っていると、相場が下落して資産が多少目減りしても、気持ちが楽に続けることが可能になります。

あとは、仲間づくりの重要性です。これは私自身いずれ近いうちに「お金の基礎が学べて、同じ悩みを共有できる場」作りを計画しています。

このブログを見せてもいいです。また、気に入った本の方がツイッターやフェイスブックを行っているケースもあるので、フォロワーになってフォロワー同士で繋がるのも良いですし、著者の講演会を聞きに行って、来ている人同士で意気投合するのもいいですし、職場と違う仲間を作る努力をしたほうがいいです。

相場が上昇して資産が増えているときはいいのですが、下落して悩んでいるときに同じ悩みを共有する人がいるのは継続するうえでとても大切です。やめてしまうのが一番のリスクなので、ストレスを共有できる仲間を作ることを心がけてください。

最後に、これは積立期間が終わるときに向けてですが、積み立てて、金額が増えてきて、年齢も上がってきたときですが、出口戦略が大切になってきます。

この時に少し頭の片隅に置いておくと良いのが「100-年齢=株式型商品」の式です。

まだ、40代前半以下の人ならむしろ100%株式でも良いのですが、40代後半以上になってくると、「貯める」から「使う」にシフトを考えないといけなくなってきます。「使う」時に暴落していては大変なので、徐々に安定運用の比率を上げる出口戦略が必要になります。この時にこの公式を実行してみてください。年に1度の行動でもいいですし、3年や5年に一度でもいいです。徐々に使って行く体制に持っていくのです。

年金が足りないからお金を0金利の貯金でためて、将来に不安を抱えながら、目先の自分に対しての投資や、楽しみを控えすぎて老後に不満を抱えただけのつまらない老人にならないように今から少しだけ行動を変えてみる事を考えてはどうでしょうか。