氷河期世代対策について

7月に行われた参議院選挙前ににわかに氷河期世代対策がクローズアップされてきました。

氷河期世代とは?

色々な定義がありますが、いわゆる就職氷河期に就職活動をしていた世代です。

大体1998年から2004年位に就職活動をしていた人を指すことが多いです。平成10年ごろから16年ごろですね。広く捉える定義だとバブル崩壊後の1993年ごろからリーマンショック後の2009年ごろを指す文書もあります。平成10年から16年ごろ大卒で就職したら37歳〜44歳前後ですし、高卒なら33〜37歳位の人です。

特徴は?

人数が割と多いことが挙げられます。

団塊ジュニア世代、ポスト団塊ジュニア世代と言われるくくりもあって大体親世代が団塊の世代なので200万人近く毎年産まれていた世代です。

日経新聞によると昨年に35歳から44歳だった人の総計が1689万人で、日本の労働人口の2割を占めることが書かれています。

【きょうのことば】就職氷河期 生産年齢人口の2割超:日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48564580U9A810C1EA2000/

また、かつての戦後世代教育の最期の世代とも言えます。

私も2000年卒業の42歳ですが、氷河期であり、ポスト団塊ジュニア世代です。

親の教育方針はとりあえず良い大学、大企業、終身雇用だったと思います。恋愛も中々古臭くて、彼女の家が実家の場合お父さんにどうやって言い訳して娘さんを出してもらうか考えたり、待ち合わせはしっかり決めておかないと会えなかったり、ポケベル連絡が中心で公衆電話に並んだりしてました。ただ、大学在学中に携帯電話とインターネットが普及して風景が変わり今の土台のようなモノがたくさん出てきた時でもあり、昔世代と今世代の境目の様な世代です。

就職活動は?

この就職活動は携帯電話が普及してもスタイルは変わらず、企業に対して資料請求をハガキ郵送とインターネット両方でやってました。

ただ、大学名を書くのですが、これによって明らかに資料を返す企業数が違うのが友人らでも話題でした。

有名国立大学なら9割以上、有名私大なら7割程度、普通の大学と言われているところなら半分程度です。

ただ、問題は面接です、面接を受けようにも資料を読んでもどこにも採用予定人数が書いてなかったり、若干名とあったり、従業員数が1万人を超える巨大企業でも50人程度とか、枠が少ないのが目立ちました。

面接を受ける前に会社説明会に参加して小テストを受けるケースが多かったですが、友人含めても面接に進めた!というのが話題になる程受けようにも受けられない状況でした。

なので大体皆30〜40社受けて最終面接を2〜3社、内定は1つか2つが多かったです。

また、私の周りにはいませんでしたが、受かった会社の倒産、内定取消しなども社会問題化していました。

私の通っていた大学は関西では割と名前が知られている私立大学で、経済学部でしたが、ゼミ生の1/3が就職が決まらずにもう一度わざと留年する就職浪人でした。

なぜ卒業しなかったかというと、会社の面接が新卒枠から中途採用枠になるからです。中途採用にはかなり厳しい目が向けられていた時代でした。未経験で中途採用となると完全に就職活動から脱落するリスクが高かったので皆もう1年を選んでいました。

在学中に人材派遣に関する法令が改正され、幅広く派遣という仕事が認知されるようになってきたのもこの頃です。あまりに就職できないから派遣といういわばアルバイトと社員の中間を国が用意したわけです。

なので、就職を諦め、もう1年在学も厳しい人は派遣を選ぶ事もありました。

ただ、その時に皆相談したのが、社会保障やキャリアビジョンについてでした。やっぱり派遣で働くと中々保障も受けれない、スキルアップも難しいと考え、もう一度頑張ろうと飲みながら相談していた思い出があります。

今から思うと、国は当時の状況を把握していたのにここ20年近く何も対策を取らなかったと言えます。

対策法案について

「氷河期」100万人 就職支援:日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO48547530U9A810C1MM8000/

記事によると、対策を取らないといけない対象人数は100万人近くで、将来生活保護を受けるようになると毎年20兆円規模の社会保障費がかかるとのことです。

また、世代全体の稼ぐ力が弱いため、消費も少なく、経済成長にも陰を落とすとされています。

対策の柱が

  1. 専門知識やスキルを教える民間教育機関が非正規雇用者に半年程度の訓練や職業実習をした場合、国から経費の一部として最大20万円出す
  2. 受講者が訓練などを始めてから8カ月以内に正規雇用の職に就き、半年間きちんと働ければ追加で最大40万円を支給する。
  3. 短期資格取得コースも新設する。厚生労働省が民間の業界団体に委託し、希望者に1カ月程度の集中訓練をする。建設なら小型クレーンやフォークリフト、運輸なら運行管理者や整備管理者などの資格取得を想定している。
  4. 自立支援相談機関やひきこもり地域支援センター、ハローワークなどが連携して長い期間、職に就けていない人の社会参加も促す。

となってます。

対策の効果は?

ただ、この中身をみると対策にはならないように思えます。

まず、研修を行う業者に支援という所が間違ってます。これだと、なんちゃって研修業者がたくさん出てきて適当な講義をやって20万円せしめて終わりです。

もし、研修後に就職させても、とりあえず受け皿の企業を作るなりして半年後に40万受け取って解雇や倒産もあり得ます。

短期資格コースもいいですが、実際に30代後半から40代の人が素人で資格とったからと言って20代と同じ働きができるか?と思います。

それよりも、今回対策の中心対象者が正規を希望しながら非正規な50万人と無職の40万人です。

非正規で雇用している事業者に補助金出して正規雇用に切り替えることを促したり、自発的に学んだり、学校に行ったりする費用を国が負担する方が余程変わります。

しかも、金額も小さいです、1人雇用するのは企業にとってとても大きな負担増加です、ならば20万とか40万とかではなくて年収分くらい負担してあげてはどうでしょうか、また、本人にも一時金を100万円くらい支給した方が良いです。

いまのままだと研修機関が乱立して補助金取って終わりになります、雇用する企業と働こうと思う人々の意識を変えるくらいの費用負担を行うくらいでないと状況は変わりません。

国の今回の対策は本気では無いなぁととても思います。