遺伝子薬「日本式」の壁 薬価失望で株安 2019年8月30日 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGKKZO49181230Z20C19A8EA1000/
記事のポイント
- 新興企業アンジェスの日本初となる遺伝子治療薬「コラテジェン」の価格は60万円、患者は3割を負担
- 市場では失望売りが起きた。薬価の情報が事前に流れた27日から29日までの3日間で4割株価は下落、安すぎるという評価
- 米国では、既存の治療法などと比べてどれだけ治療の効果があるかをもとに、まず製薬会社が価格を決める。そのあとに、民間の保険会社と値引きなどの交渉を進めて、最終的な価格に落ち着く
- 日本では政府が価格を決める。もし類似の薬が販売されていれば、その価格を基準にして決める。今回のアンジェスのように似た薬がなければ、製造原価をもとにはじく
- 原価から価格を出す方式は日本独自で今回のアンジェスの事例を見て日本で最初に新薬を出す意欲が企業から削がれると思われる
感想と投資について
製薬会社の薬の価格は私みたいな素人にはわからないものです、新聞にもありましたが、高い薬は以下の通りです
- 「ラクスターナ」両眼で85万ドル(9300万円)
- 「ゾルゲンスマ」212万ドル(2億3000万円)
- 「イエスカルタ」一回4200万円
- 「オプジーボ」は当初3500万円
- 「ハーボニー」は700万円
これ以外にもあると思います、海外にない画期的な薬なら1億円位つけても良かったのかもしれません。
ただ、我々から見ると値付けのやり方や考え方が海外と日本で逆なので、海外だと高騰する傾向があるし、日本だと保険財政を考慮して安くなるのでどちらが正しいのかがわかりません。
こうしてみると薬に関わる企業を見るときに注意しないといけない点が浮かんできます。
- アナリストが日本の薬価の決め方を誤る可能性があること。例えば今回株式市場にマイナスのインパクトが大きかったということは証券会社のアナリストの試算が悪かったということになります
- 原価や他の薬との比較が重要なら効き目が悪くても費用がかかった薬は高くできるので業界で横並びになり、ダメになる企業は少ない結果になる一方で抜けた存在になれる企業も出にくい
- バイオベンチャー株投資は基本的には見送る方が日本では無難
こんな感じだと思います。私も小野薬品がオプジーボを発表して株価が上がっていた時はワクワクしましたし、ハーボニーが日本に来た時はすごい薬が来たと思いました。が、どちらも薬価の改定で沈んでしまいました。
これなら企業は海外で申請して発売後に日本に導入した方が良く、これから国内での新薬開発の機運は薄れていくと思います。
また、中々難しいでしょうが、保険でカバーできる範囲を限定したり、支払済みの保険料によって保険でカバーできる範囲を変えるとかも必要になってくると思います。米国はオバマ政権で国民皆保険を目指して制度を作ったものの中々反対意見は多いようです、日本は保険が当たり前でやめたり制限する論議はまだ出てませんが、今後少子高齢化が進めば出てくると思います。
薬に関わる会社への投資を改めて考えさせる事件でした。